2009 Fiscal Year Annual Research Report
小脳変性症に対するリハビリテーション効果の分子機構解明
Project/Area Number |
19500464
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
久寳 真一 Kansai Medical University, 医学部, 准教授 (60195394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 竜一 関西医科大学, 医学部, 助教 (70239002)
中尾 和子 関西医科大学, 医学部, 助教 (60351540)
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Keywords | 小脳 / BDNF / プロモーター / 運動失調 / 神経栄養因子 / エピジェネティックス |
Research Abstract |
小脳半側破壊後の大脳皮質と小脳皮質における遺伝子の発現変化と動物の運動機能の変化を調べた。エピジェネティックな解析では、BDNFの遺伝子情報が豊富なラットを用いて実験した。運動機能解析を主とした実験では、マウスをモデル動物として主に使用した。 1.BDNF遺伝子のexon4の発現がラットの小脳破壊の反対側の運動皮質で上昇していたので、BDNF遺伝子のexon4の遺伝子発現上昇に関与するエピジェネティックな解析を行った。すなわち、BDNF遺伝子のexon4のプロモーター領域に狙いを定めて、ヒストンのアセチル化をクロマチン免疫沈降法により調べた。その結果、小脳破壊後にプロモーター領域のヒストンのアセチル化が約4倍に上昇していることが分かった。このことから、小脳破壊という効果が大脳皮質の細胞の核内ヒストンのアセチル化にまで影響を及ぼして、遺伝子発現を増強していることが判明した。 2.小脳の破壊前から、運動によるリハビリテーション(自発的な回転かご運動)した場合は、BDNF遺伝子発現増加が高い傾向にあったが、ばらつき多く、有意な発現増加は認められなかった。回転かごへの導入等がストレスとなり、BDNFの上昇が抑制された可能性が考えられた。強制運動をさせた動物では、むしろBDNF発現が、やや低下する傾向(有意差なし)が認められた。 3.残存小脳の変化。小脳半球部切除後に残存した小脳半球のBDNFを計測したところ、小脳破壊後4日目ごろから有意に増加しており、大脳皮質運動野より早期に可塑的に変化がおきていた。残存小脳も運動機能回復に寄与している可能性が示唆された。
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