Research Abstract |
本研究は,従来のレッグプレス等で代表される多関節運動機器に回旋運動要素とEMG評価機能を付加したトレーニングシステムを構築し,変形性股関節症患者を対象にトレーニング中の筋の質的筋活動状態をリアルタイムでクライエントへフィードバックさせ,そのトレーニング効果について検討することを目的としている.平成21年度の研究実績は以下の通りである. 課題:回旋運動を付加した多関節運動連鎖機器を使用してのケーススタディ これまでの研究において多関節運動機器(レッグプレス)をベースに試作機をつくった.また,本年度は特願2009-092646(歩行能力の改善を目的とした筋力トレーニング機器)まで進めた.さらに実際にシングルケースとしてデータ計測まで行った.計測内容は表面筋電図(EMG)と,骨盤にマーカーを貼付した3次元解析,及び床反力足圧中心(COP)である.方法は股関節周囲筋(中殿筋,大腿筋膜張筋,大殿筋)に電極,骨盤の上前腸骨棘に反射マーカーを貼付し,そして,床反力計の上で片脚立位を5秒間行い,その時の骨盤マーカー,COP及び股関節周囲の筋活動を計測した.その後,新システムでトレーニングを実施し,再度,片脚立位時の骨盤マーカー,COPとEMGを計測した.その結果,骨盤マーカー及びCOPの軌跡は前後,左右,垂直成分共に減少した.さらに,EMGも3筋共に筋活動が高まる傾向を示した.本結果は,神経筋促通手技(PNF)を用いた訓練時とほぼ同様の変化を示しており,新システムを用いたトレーニングの有効性が示唆された.今後は本システムを用いた臨床データの計測を行い,筋病態レベル(筋線維染色による筋線維タイプの定量化)との関連性など,さらなる検討を行う予定である.
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