Research Abstract |
1.生徒の検査と心理教育の改善山口は,唾液バイオマーカーの検査方法の高度化のために,代表的なストレスマーカーとして,唾液に含まれるコルチゾールをターゲットとし,その分析に用いる使い捨て式の唾液コルチゾール分析用イムノセンサを試作し,臨床評価への応用を可能とした。イムノセンサの感度を左右するキーテクノロジーとなる分子認識素子には,初年度に有機合成したGOD-CORTコンジュゲートを用いた。心理教育の改善として唾液コルチゾールの日内変動を検査した結果,朝高く夜低いという人が共通して持つサーカディアンリズムに加え,日中のストレッサーの増大によってコルチゾールの消耗が増大し,睡眠によって十分補給できなくなることが判明し,早朝が重要な検査タイミングであることを示した。 2.総合評価山口と竹田が協力し,メンタルヘルスマネージメント手法の構築を目的として,初年度,2年度に収集した中学生及び小児を対象に収集した検査データをもとに,精神健康調査票(GHQ),状態-特性不安検査(STAI)との関連性について重回帰分析した結果,唾液バイオマーカーを用いれば,心身ストレス以外は特段の問題がない見かけ上の健常者を,うつ病などの重篤な精神状態に陥る前にスクリーニングすることが可能であることが示唆された。 以上のように,唾液バイオマーカーが中学生の心身ストレスの指標になり得るかを検証することを目的として,3年間に渡り本研究を遂行した結果,唾液ストレスマーカーによる非侵襲的な検査手法が,不登校予防のためのスクリーニングへの応用が可能であると考えられた。本年度の成果は,国内外の学術論文4編,学会発表6件等で報告した。
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