2009 Fiscal Year Annual Research Report
骨伝導聴覚刺激による脳波応用意思伝達システムの基礎的研究
Project/Area Number |
19500474
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
千島 亮 Shinshu University, 医学部, 准教授 (80252112)
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Keywords | 脳波 / 事象関連脳電位 / P300 ERP / 生活支援技術 / BCI / 意思伝達支援技術 / 骨伝導 / リハビリテーション工学 |
Research Abstract |
本研究は,重症な神経筋疾患・高位頸随損傷者の意思伝達支援を目的とし,脳波応用技術(brain-computer interface : BCI)領域ではこれまで応用されていない骨伝導音刺激による事象関連電位P300成分に注目した.骨伝導音の弁別選択で得られるP300成分を導出し,最適な刺激条件の検討から新たなBCI開発の可能性について検討してきた.本機構のBCIシステムで生活支援機器を効率的に制御する上では,目的とする安定したP300成分の特徴抽出をオンライン波形処理上で実現することが極めて重要となる.目的とするP300成分の頂点振幅が十分に大きく,波形導出の再現性と潜時揺らぎの少ない刺激呈示条件を明確にする必要がある.そこで弁別課題となる聴覚刺激音の音圧レベル,刺激周波数,持続時間などの刺激音の特徴パラメータを骨伝導音と気導音で変化させた導出実験を行い,相互の最適刺激条件をP300成分の頂点振幅値のから実験により検証した.超磁歪型ヘッドホンを用いた両側頭骨部からの骨伝導音課題では,音圧レベル条件については約50dB程度の呈示が良好なP300導出に適していた.刺激周波数条件では,標的刺激2000Hzで頂点振幅値が増大する傾向にあっが,他の標的刺激周波数の変化ではいずれの条件でも明確な頂点振幅値の差は認めなかった.トーンバースト音の持続時間の検討では100msec程度の持続時間が最適であろうと考えられた.以上の検討から,気導による日常生活音を阻害することなく骨伝導音呈示でP300成分導出が可能であることが確認できた.今後,現時点でも明確な解明が成されていないヒトでの骨伝導音の伝達特性を十分に加味し,骨伝導音刺激による新たなBCIシステムの構築に向け,P300成分を効率的に特徴抽出できる算出アルゴリズム設計による支援システムの構築を更に進めることが課題となった.
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Research Products
(8 results)