2008 Fiscal Year Annual Research Report
ユニバーサル色覚バリアフリー実現のための自動色補正技術の開発
Project/Area Number |
19500475
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
田中 清 Shinshu University, 工学部, 教授 (20273071)
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Keywords | バリアフリー / 色覚 / 自動色補正 / 高齢者支援 |
Research Abstract |
ユビキタス時代におけるユニバーサルな色覚バリアフリーを実現するために、まず、平成19年度に構築した加齢に伴う高齢者の色覚劣化モデルを用いた、高齢者による色の見えをシミュレーションする方法の改良を行った。従来法では、短い波長区間ごとに高齢者輝度を表す式を立て、その組み合わせによって解法した複数の結果の平均値を実行輝度比として取り扱っていたが、得られた解の精度が不十分な問題があった。そこで、新たに表示装置の発光スペクトルの波長特性を利用する方法を検討し、高齢者色覚シミュレーションの再現性を向上した。次に、高齢者の色の見えを考慮したコンテンツ色の自動補正法について検討を行った。入力したカラー画像に対して年齢を入力することにより、高齢者が観察しているであろう画像を出力し、この画像を利用して隣接色の加齢に伴うL*u*v*空間での距離の減少を計測し、この距離ができるだけ大きくなるようにコンテンツの配色を修正する。加齢によって感度が減少しやすい方向に、この距離が増加するように修正することが有効であることがわかった。また、この方法の様々な表示デバイス上への実装方法についても基礎的な検討を行った。さらに、後天色覚劣化の自己診断方法については、検査用表示装置上に実際に表示される色の精度検証を行うとともに、検査方法として確立するための基礎検討を行った。2年間にわたる本研究を総括すると、高齢者による色の見えとこれを考慮した対策の有用性がより明確なったと言える。一方で、高齢者の色覚劣化検査法の確立やコンテンツ色の自動補正法の実装における多くの課題が見出され、これらは今後の検討課題である。
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