2007 Fiscal Year Annual Research Report
白内障患者に対する透明遮光眼鏡の視機能改善効果の解明
Project/Area Number |
19500485
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 洋 Kanazawa Medical University, 医学部, 教授 (60260840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 洋 金沢医科大学, 医学部, 教授 (60260840)
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Keywords | 遮光眼鏡 / 白内障 / 視機能 / 加齢 / コントラスト感度 / 瞳孔径 / QOV / QOL |
Research Abstract |
眩しさの原因と言われている青色光をカットして、見え方の質の向上を図る医療用遮光眼鏡は白内障患者にも処方されるが、レンズ色が濃い黄色や赤色ため、職場、学校、暗所などでの使用が制限される。申請者らは使用環境・状況に左右されにくい、ほぼ透明な遮光眼鏡(狭帯域吸収フィルターレンズ)の研究を行っている。今年度は屈折矯正用眼鏡の夜間運転適合基準(視感透過率τV:75%以上)を満たした条件でのフィルターリングの差、具体的には、可視光線全体を均等吸収した場合(ND80フィルター:グレー)と3波長を狭帯域吸収した場合(FL3フィルター:透明)の視機能への影響について検討した。 両眼開放で矯正視力1.0以上の健常ボランティア16名(24〜58歳)を対象として、フィルター効果をコントラスト感度で評価した結果、FL3を装用すると昼間、薄暮および薄暮時にグレア光がある3視環境で視機能は有意に改善した。ND80は中高齢者では改善傾向を示したが、40歳以下の若年者ではグレア光が存在するとコントラスト感度は悪化した。この原因を探るために、フィルター装用による瞳孔径の変化を検討した結果、24歳女性の場合ND80装用(20%減光)により約0.8mm散大し、FL3では約0.2mmの散大に止まった。これをPSFセンサーにより網膜に映る像をシミュレートした結果、ND80装用による網膜像の質の低下が確認された。 夜間運転に適合する眼鏡には視感透過率75%以上が必要であるが、可視光線を全波長で吸収しても、視機能の改善効果は極めて少なく、薄暮視でのコントラスト感度低下をきたす危険性もある。狭帯域吸収フィルターはレンズ色の高濃度化を抑制しながら視機能改善効果が得られることが明らかとなった。次年度は白内障患者における検討を行う。
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Research Products
(1 results)