Research Abstract |
高齢者のつまずき前方転倒は寝たきりの原因となり,防止策が強く望まれている.そこで我々は転倒防止策の1つとして,脚部運動神経刺激による転倒防止法について検討を行っている.本年度ではつまずき後の体幹角度変化を強制的に与えた状態から転倒防止動作の試験を行い,力学的な解析より踏出し足の関節トルク挙動を解析し,転倒防止を行う踏出し足挙動を調べる. 身体を5リンクモデルに基づき矢状面内での踏出し足の関節トルク解析を行った.原点は軸足(左足)とし,踏出し足(右足)の膝関節トルク,右股関節トルクの解析式を導いた.各関節の矢状面位置は画像解析より取得し,床反力は荷重計より取得した.各部身体質量,慣性能率は被験者身長と体重から求めた統計値を用いる.試験は,つまずき後の身体角θを立位状態でロープ把持にて与え,その後離す.被験者は荷重計を設置した足置き(角度θ)から右足を荷重計に踏み出し,転倒防止動作を行う.試験条件は20deg, 〜40deg., 5deg.刻みで行い,被験者は4名の20歳の健康男子である. 踏出し足は膝を曲げ,大腿を前に動かす動作が主であり,40deg,の場合は20deg.に比較し,足置き台の荷重変化から約0.25秒速めに離床し着床も同時間程度短い,また歩幅が長くなっているが,着床後の床反力はほぼ同変化であった.足置き台の初期荷重値はロープ離しが瞬時でないと考えられる.なお,40deg.においては,転倒した被験者もいた.解析式による踏出し足の膝,股関節トルクの時間挙動は,踏出し足の離床とともに股関節の正トルクが増加し,踏出し足が前方へ動かされていることがわかった.膝関節は発生トルクが小さく,踏出し開始は屈曲動作のため負トルク,その後,転倒防止を行う着床準備の伸展動作のため,正トルクに転じている.両間接トルクともに40deg.は立上りが鋭く,最大値も増加していた.
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