Research Abstract |
脚部筋の電気刺激による転倒防止装置の開発を目的として,大腿四頭筋に対する電気刺激について,刺激波形の周波数と振幅に対する主観的痛感痛覚と膝関節動作・トルクの動特性について実験解析を行った.この結果,次の2つの結論を得た.(1)電気刺激の周波数10Hzにおいては,振幅100mA程度で,主観的痛感痛覚が8程度の「針で刺されるような痛み」が生じたが,他の周波数と比較して,3倍程度の振幅値の刺激が可能であった.50mA以上の比較的大きな振幅値による刺激が可能であったため,同条件下の膝関節動作は,被験者によっては,0.4s程度の動作遅れ,73.9deg.の最大動作角度,24rad/s2の最大角加速度,最大関節トルク5.5Nmを得ることができた.しかし,刺激初期の関節移動において,筋収縮が間欠的に発生し,振動現象が見られた.(2)電気刺激の周波数100,77,50Hzの高い周波数は30mA程度の低い刺激振幅においても主観的痛感痛覚が強く,特に「筋肉が絞られるような痛み」が生じることがわかった.同条件下の膝関節動作については,5Nm程度の高関節トルクを得られるが,関節動作は角加速度が8rad/s2程度で遅く,被験者によっては刺激開始から1s程度遅れて動作が開始されることがわかった.また,初期動作における振動動作は発生していなかった. 今回得た試験結果から関節動作特性と主観的痛感痛覚を考慮した結果,適当な条件は刺激周波数10Hzで電流振幅70mA程度であった.ただし,初期動作で振動現象が残ることより,関節駆動状況に応じて周波数,振幅を変化させる手法を検討する必要もあると考えられる.
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