2007 Fiscal Year Annual Research Report
色覚障害者の視覚特性に基づき自然画像の視認性を改善する色覚バリアフリー化技術
Project/Area Number |
19500490
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
坂本 隆 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 脳神経情報研究部門, 主任研究員 (90357111)
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Keywords | 生物・生体工学 / ディスプレイ / 医療・福祉 / 情報工学 / 脳神経疾患 / バリアフリー / 視覚・色覚障害 |
Research Abstract |
本研究は、任意の視覚標示物や画像などを対象とし、汎用的に活用できる色覚障害者向け色修正技術を開発することを目的とする。 色覚障害者向け色修正技術は、これまでにも幾つかの研究が報告されているが、色数が増えると計算量が爆発して解が求まらなかったり、煩雑な前処理や領域分割を必要としたり、修正された色が不自然に感じられたりするなど、幾つかの欠点があり、これらの解決が課題となっていた。 そこで本研究では、画像処理によって視認性を改善する手法を選択し、研究対象とした。画像処理を用いることによって、情報曝発などの不具合とは無関係に処理を進めることができ、高速処理が可能であり、極端な色の置き換えが生じにくいなど、従来手法が抱えていた種々の問題点を解決することが期待される。 平成19年度は2つの画像処理法について、研究を進めた。1つ目(画像処理法A)は、本研究代表者が独自に開発したコントラスト改善技術(特許第2866935号)を用いる方法であり、色覚璋害者の視覚特性に合うように画像のエッジ強調処理を行うことによって、色覚障害者の視認性を改善しようとする技術である。当該手法の開発を4月〜12月に実施し、1月〜3月には色覚障害者の見えを模擬するサングラスを一般色覚者(研究代表者)が着用して、視認性改善効果を検証する実験を実施した。しかし視認性改善効果については芳しい結果が得られず、平成20年度は、問題点の明確化と、引き続き画像処理法Aの開発と改良を実施することとした。2つ目(画像処理法B)は、画像の色を変えることなく、視覚標示物(特に印刷媒体、着色媒体)の視認性を改善しようとするものである。この方法の基本的な考え方は、xy色度図上の混同色線と混同色中心を考慮し、混同色線上の色同士をテクスチャ処理によって可視化しようとするものである。画像処理法Bの開発は順調に進み、当該手法を用いた視覚標示物の試作品を完成させることができた(平成20年度初旬に特許出願を予定)。 当初、平成19年度計画では、1つ目の画像処理法Aのみを対象に、実際にビデオ入力を使ったリアルタイム処理システムの開発に着手する予定であった。しかし上述したように、幾つかの解決すべき問題があり、開発が滞ったため、当初計画には含まれなかった2つ目の画像処理法Bを新たに考案し、開発に着手して、特許出願などの成果に結びつけた。 なお論文や学会発表などの対外報告は、平成20年度初旬の特許出願後に実施する予定である。
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