2007 Fiscal Year Annual Research Report
幼児および小学生児童における身体活動量と筋の量的および機能的発達との関係
Project/Area Number |
19500493
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金久 博昭 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50161188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 啓太郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (70323459)
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Keywords | 幼児 / 日常生活中の歩行数 / 身体組成 / 運動能力 / 年齢変化 / 性差 / 筋形状 / 筋間差 |
Research Abstract |
本研究は、幼児および小学生の日常生活活動量と筋の形状および機能との関係について明らかにすることを目的としている。平成19年度は、4〜6歳の男児119名、女児134名を対象に、ライフコーダーによる日常生活活動量および皮下脂肪厚と筋厚、ならびに立ち幅跳び、テニスボール投げ、10m走の各成績に関する測定を実施した。また、小学生男児30名を対象に、筋の形状と機能に関する測定を実施した。その結果、1)幼児期における日常生活での歩行数は、5,6歳の時点で、男児が女児より有意に多いこと、2)男児の場合に、歩行数と皮下脂肪厚および筋厚との間には有意な相関関係は認められないが、女児では、上腕後部、大腿前部、大腿後部、下腿後部の皮下脂肪厚は歩行数と負の相関関係にあること、3)男児の場合に立ち幅跳びとテニスボール投げ、女児では立幅跳が、それぞれ歩行数と有意な相関関係を示すことが明らかとなった。これらの結果から、幼児期における日常生活中の歩行数の多寡は、運動能力に個人差を生む要因になること、また、女児では皮下脂肪厚の付着状況に影響を及ぼすことが示唆された。なお、平成19年度における分析は、歩行数との対応にとどまった。ライフコーダーによって得られるデータには、活動強度別の活動時間が含まれる。今後、それらと組織厚および運動能力の計測結果とを対応させることにより、幼児期における身体組成および運動能力における性差や個人差の要因としての日常生活活動量の影響について検討していく予定である。小学生を対象にした結果については、筋形状の構成要因である筋厚と羽状角について分析し、両変数間の関係における筋間差について主に検討した。その結果、1)筋厚は、外側広筋が腓腹筋内側頭および上腕三頭筋より、腓腹筋内側頭が上腕三頭筋より、それぞれ有意に高い値であること、2)羽状角は、腓腹筋内側頭が最も大きく、ついで外側広筋であり、上腕三頭筋が最も低い値を示すこと、3)外側広筋および腓腹筋内側頭では、筋厚と羽状角との間に有意な相関関係が認められるが、上腕三頭筋では、両変数間に有意な関係は見出されないことが明らかとなった。また、筋厚と羽状との関係において、前者が同一レベルであっても、羽状角は腓腹筋内側頭が外側広筋より有意に高いという結果が得られた。このような筋厚と羽状角との関係が、小学生児童特有のものであるかどうかは、平成19年度の研究実施内容からは明らかにすることができず、今後、成人のデータとの対応を試みる予定である。なお、平成19年度に測定した幼児および小学生に関しては、平成20年度においても同様な測定を再度実施する予定であり、縱断変化に関する検討も加える予定である。
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