2009 Fiscal Year Annual Research Report
幼児および小学生児童における身体活動量と筋の量的および機能的発達との関係
Project/Area Number |
19500493
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金久 博昭 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50161188)
|
Keywords | 幼児期 / 身体組成 / 運動能力 / エネルギー消費量 / 身体活動水準 / 加速度計 / ステップワイズ法 / 性差 |
Research Abstract |
本年度は、まず月齢54~76ヶ月の男児100名および女児114名を対象に、1)皮脂厚・筋厚および2)運動能力の影響因子について、日常生活における身体活動量との関連で検討した。簡易加速度計による1週間の記録から、1日当りの総エネルギー消費量を算出した。さらに、総エネルギー消費量に基づいて、活動量指標(総エネルギー消費量-基礎代謝量)と活動水準指標(活動量指標/基礎代謝基準値/体重)を求めた。また、身体活動水準を(1)強度レベル0:座位か横・仰臥位など殆ど動きを伴わない、(2)強度レベル1、2、3:移動を殆ど伴わない動作かゆっくりとした歩行程度、(3)強度レベル4、5、6:速歩程度、(4)強度レベル7、8、9:強歩・走程度の10段階に分類し、それぞれの強度が24時間中に占める割合を求めた。重回帰分析(ステップワイズ法)を適用した結果、男女とも上腕・大腿・腹の皮脂厚の予測因子として、活動水準指標が抽出された。一方、筋厚については、殆どの部位において有意な予測因子となる身体活動変数は抽出されなかった。したがって、幼児期における身体活動の状態として、活動水準が高いほど皮下脂肪の付着を少ないものにするが、筋の発達に対しては身体全体の自然な発育以上の効果をもたらさないことが推察された。また、立幅跳の成績に対しては、男女に共通の因子(大腿前筋厚および強度5の時間比率がプラス因子、上腕皮脂厚がマイナス因子)が抽出された。一方、ボール投げの成績に対しては、男子の場合に、大腿筋厚、前腕筋厚および強度5の時間比率がプラスの因子として選択されたが、女子においては大腿筋厚および強度5の時間比率のみであった。また、10m走タイムに対しては、男子では大腿筋厚および強度9の時間比率が、女子では下腿筋厚および活動量指標が、それぞれプラスの因子として抽出された。これらの結果から、走・跳・投の各運動能力の影響因子は項目間で異なると同時に、男女間でも違いがあり、それが運動能力における性差を生む要因の1つになっていることが推察された。以上の幼児期を対象にした研究に加え、思春期前児童との比較を試みる意味で、中・高校生各種スポーツ選手の筋量・筋力の特徴に関する分析を実施し、その結果は査読付き論文として報告した。
|
Research Products
(3 results)