2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19500507
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
伊藤 豊彦 Shimane University, 教育学部, 教授 (20144686)
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Keywords | 教育系心理学 / 身体教育学 / 身体心理学 / 動機づけ |
Research Abstract |
体育授業における動機づけ方略の検討に関する平成21年度の主な研究業績は、以下の通りである。 まず、児童・生徒を取巻く環境要因が動機づけに及ぼす影響を明らかにするため、動機づけ雰囲気と攻撃行動との関連を検討した結果、チームの熟達志向的雰囲気が攻撃構造を規定することが明らかになった。また、動機づけ構造とセルフ・ハンディキャッピング(SH)との関連では、チームの環境要因である動機づけ構造のありようがスポーツでの達成を阻害するSHを抑制する傾向が認められ、学習環境要因が児童・生徒の動機づけを規定することを明らかにした。 次に、文献的研究に基づいて作成した体育授業における学習環境を診断・評価できる尺度を小中学生を対象に実施した結果、学習環境に係る因子として、小学生では、「自主的取り組み」「協調・姿勢」「仲間の支援」「能力重視」「社会的規範の欠如」「努力の承認」の6因子が、中学生では、「熟達雰囲気」「自主的取り組みと承認」「能力重視」「社会的規範の欠如」の4因子がそれぞれ抽出され、体育授業における重要な学習環境要因が明らかになった。さらに、抽出された学習環境要因と学習動機・学習方略・心理的欲求などの動機づけ関連要因との関連を検討した結果、小学生では、授業における自主的取組や協調が動機づけを高める方向で影響していたのに対して、能力を重視した評価が優位であれば、児童の動機づけは抑制される傾向が示された。また、中学生では、熟達雰囲気と自主的取組と承認因子がづけを促進させるのに対して、能力重視因子は、動機づけを抑制する傾向が認められた。 以上のことから、教師が用いる体育授業における動機づけ方略として、児童・生徒の自主的取り組みを奨励し、その努力を評価するような指導方略を積極的に採用するとともに、能力や素質のみを重視した評価を可能な限り回避することの重要性が示唆された
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