2009 Fiscal Year Annual Research Report
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19500510
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
中瀬古 哲 Prefectural University of Hiroshima, 人間文化学部, 教授 (00198110)
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Keywords | カリキュラム / 身体運動文化 / ボールゲーム / 社会的発達 / 競争-協同 / 学習規律 / 学習集団 / 生活規律 |
Research Abstract |
公立保育園(IE保育園7回,T保育園10回,Y保育園5回),私立保育園(KN保育園:10回,NN保育園:8回),公設民営保育所(SK保育所:10回,M保育所:10回)の設置形態の違う保育施設7箇所を対象に,合計60回のフィールドワークを実施した。延べ,189名の就学前児童(5歳児)のボールゲームの教授-学習活動を中心に,約1年間に渡って保育園における身体運動文化に関わる教育(=保育)実践を継続的に観察した(実施期間:2009年4月24日~2010年3月29日)。その結果、カリキュラムの構成に関わる以下のような基礎的知見・示唆を得ることができた。 まず第一に,「的あて」という活動(集団運動遊び)は,(1) 就学前のすべての子ども(5歳児)に「自己肯定観」「達成感」を味あわせることのできる構造・機能を有している,(2) 体重移動やリリースのタイミング等の投動作の基礎的能力の獲得に関わる習熟過程が存在する,(3) そのパターンは,的及びボールの大きさや場面設定等の条件に大きく規定されている。第二に,第一で明らかとなった身体運度文化の教育的機能と活動の構造・機能・意味は、ほとんど理解或いは意識されておらず、保育実践においては、習熟のための系統的・体系的指導は重視されていない。第三に、保育者の成長は「保育勧」「子ども観」の変革と不離一体のものであり、単なる指導技術の向上・獲得のみの問題ではないこと、並びに「観」の変革は年間を通したアクションリサーチによって可能であること、その際素材の構造・機能・意味の理解が不可避に求められること、が示唆された。
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