2008 Fiscal Year Annual Research Report
地域における総合的「身体教育」のための「体験」と「教育的空間」の検討
Project/Area Number |
19500512
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
久保 正秋 Tokai University, 体育学部, 教授 (30119672)
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Keywords | 身体教育 / 体験 / 教育的空間 / ツーリズム |
Research Abstract |
本年度は研究計画に従って、課題1、総合的「身体教育」における「体験」、課題2、「教育的空間」としての構成要素の検討を行った。課題1に関しては(1)学校教育における「体験活動」として、前年度に検討した「修学旅行」を対象としてその問題点を検討した。その結果、この体験が本来の意味生成としての「体験」から目的-手段関係における「経験」に変貌していることが明らかとなった。また(2)レジャー・ツーリズムにおける「体験活動」として「世界自然遺産ツーリズム」を取り上げ、その現状と問題点を検討した。その結果、我が国のツーリズムはその遺産を看板とするだけである現状を批判し、意味生成のための「体験」の必要性を論じた。これらの成果は論文として纏め、東海大学紀要体育学部に投稿し受理された。課題2に関してはまず、「教育的空間」において生成する「意味」とその「体験」の理論的検討を試みた。そのために「スポーツ運動」を取り上げ、それを「意味生成」という観点から身体的「体験」として考察した。その結果、「スポーツ運動」は社会的意義のみならず、社会的システムを超えたところの世界(エコ・システム)へと繋がる身体的「体験」という意義を有することが明らかとなった。この成果は論文として纏め、体育学研究に投稿し受理された。この身体的「体験」が生起する場が「教育的空間」であるという観点から、本研究は最終的に「教育的空間」の構造とモデルの検討を行った。その結果、「教育的空間」を構成するためには、それを単なる物理的空間として捉えるのではなく、「わたし=身体」が配置された「身体空間」として捉えることが「豊かな空間」構成に繋がることが明らかとなった。モデルとして取り上げた行政の空間構成の施策の検討では、この「わたし=身体」が配置されるという思想が欠如し、「教育的空間」を構成し得ないと結論づけた。
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Research Products
(3 results)