2009 Fiscal Year Annual Research Report
総合型地域スポーツクラブの社会的効果に関する日独比較研究
Project/Area Number |
19500520
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
黒須 充 Fukushima University, 人間発達文化学類, 教授 (50170121)
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Keywords | 総合型地域スポーツクラブ / ドイツのスポーツクラブ / 社会的効果 / 日独比較調査 / ドイツ社会とスポーツ |
Research Abstract |
今年度(最終年度)は、日独のクラブを対象に実施したアンケート結果をデータマイニング分析の手法を用いて分析を行った。スポーツクラブについての社会経済的研究にこの手法が用いられるのは初めてのことである。分析の結果、日独のクラブを区別するための重要な基準として、法人格取得の有無、スポーツクラブの構造(単一種目/多種目クラブ)、年間予算、クラブの規模(大規模/中規模/小規模)が挙げられた。その他、有給スタッフやボランティア数、公共スポーツ施設の利用頻度、諸機関との連携・協力などはそれほどの重要性は認められず、区別要因、あるいは説明要因として本質的な役割を果たしていないことが明らかとなった。また、クラズ設立の社会的効果に関しては、スタッフの確保・充実、活動場所の確保、財務基盤の安定化、地域への愛着心の向上の項目に関しては、ドイツのクラブの方が日本のクラブよりも効果に対する評価が高く、一方、スポーツ参加率の向上や地域住民の健康増進、行政コストの削減の項目に関しては、日本のクラブの方がドイツのクラブよりも効果に対する評価が高いという結果が得られた。 このことから、日独双方のスポーツクラブとも、その使命は、「官」でも「私」でもない、「公」としてスポーツ文化を地域に根付かせることにあり、少子高齢化、健康増進、市民参画、雇用創出、青少年教育など、地域社会が抱える様々な社会問題や生活課題の解決にも大きく寄与する力を備えていることが明らかとなった。ただし、日独とも、サービス提供型の比較的大きなクラブと家族的な共同体の性格を持った小さなクラブとの間にジレンマを抱えていることわかった。 以上、日本の総合型地域スポーツクラブとドイツのスポーツクラブを対象に調査を実施し、比較考察した結果、日独のスポーツクラブを区別するための基準や社会的な効果に関する類似点や相違点を明らかにすることができた。
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Research Products
(2 results)