2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19500568
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
村山 光義 Keio University, 体育研究所, 准教授 (20245632)
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Keywords | 筋収縮力 / 生理学 / 筋硬度 |
Research Abstract |
【目的】摘出筋において筋収縮力と筋硬度が比例関係にあることから,本研究では,筋硬度による随意的筋収縮力を推定することをねらいとしている.研究1年目はその基礎的検討として,安静状態の筋硬度評価方法の再検討と標準値作成を試みた.安静状態の標準値は収縮による筋硬度変化の基準となるからである.これまで筋硬度の計算にはHorikawaetal.(1993)による2層弾性モデルを用いていたが,標準的な値を定めるには個人の筋量を考慮する必要がある.そこで,筋硬度計測値と測定部位の組織構造との関係を調べ,弾性モデルの適用範囲を決定することを目的とした. 【方法】押し込み硬さ計による筋硬度計測システムを構築し,上腕二頭筋の標準的な計測値を調査した.データ処理のため,AD変換および波形処理システム(DKH社:PowerI.ab8!30,設備備品購入)を利用し,力と変位の関係を評価可能とした.157名の学生を実験協力者として筋硬度計測を行うとともに超音波画像診断装置による皮下組織と筋厚計測および周径囲計測等の形態計測を実施した. 【結果と考察】個人の筋を一定量変形させる際の弾性係数として筋硬度を定義するため,弾性係数の回帰範囲を筋厚の5-30%とし筋硬度を計算した.その結果,男女間に有意な差は認められず,筋厚による規格化によって性別に関係なく筋硬度が比較できることが示された.筋厚の5%毎に計算した筋硬度は相互に高い相関関係を示したが,皮下組織厚との相関関係には違いが生じた.すなわち,筋厚の10,15%範囲からの計算値は皮下組織の影響を受けなかった.また中間的な範囲が筋の浅部と深部の双方の特性を反映することから,筋厚の15%までの情報で筋硬度を計算することが妥当と考えた.これにより,上腕二頭筋の筋硬度の標準値は25.1±4.1(kPa)となった. なお,本研究成果は平成20年度ヨーロッパスポーツ科学会議で報告の予定である.
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