2009 Fiscal Year Annual Research Report
成長期における運動習慣からの離脱過程およびその関連要因の解明
Project/Area Number |
19500577
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
戸部 秀之 Saitama University, 教育学部, 教授 (70273745)
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Keywords | ヘルスプロモーション / 成長期 / 運動習慣 / 離脱 / 体力低下 |
Research Abstract |
子どもの体力低下や生活習慣病の低年齢化など、運動習慣に関わる重大な問題が存在し、子どもの運動習慣形成を促進する効果的な介入法の開発が求められている。本研究課題では、運動習慣からの離脱に関わる要因を行動疫学的に探求している。研究最終年度となる本年度は、これまでの検討から浮き彫りにされてきた運動習慣からの離脱と関連すると思われる諸要因と離脱経験の有無との関連性を質問紙調査を用いて検討した。 調査対象は中学生および高校生、計2,911名である。因子分析によって導かれた運動に関する3つの心理的要因(楽しさ、不得意感、継続の自己効力感)、成長欲求、運動の効果の信念、運動の内発的動機づけ、社会的サポート等について検討した。従属変数として「離脱経験の有無」、すなわち、運動を継続している者を「離脱経験なし」(1,698名)、過去2年の間に運動から離脱した者を「離脱経験あり」(675名)とし、独立変数として、「校種(中学または高校)」、「性別」、「楽しさ」、「不得意感」、「継続の自己効力感」、「成長欲求」、「運動の効果の信念」、「運動の内発的動機づけ」、「社会的サポート」を投入した多重ロジスティック回帰分析を行った。「楽しさ」以下、独立変数においては因子得点を用いた。 離脱経験の有無と有意に関連した変数は、「校種」(p<0.001)、「性別」(p<0.001)、「楽しさ」(p<0.001)、「不得意感」(p<0.05)、「自己効力感」(p<0.001)、「成長欲求」(p<0.01)、「内発的動機づけ」(p<0.01)、「社会的サポート」(p<0.01)であった。「運動の効果の信念」については有意な関連は見られなかった。このことから、運動の効果や有益性を強調する介入より、「楽しさ」「自己効力感」「社会的サポート」などの要因に働きかける介入の方が、離脱防止には有効であると考えられた。
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