2007 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール・薬物乱用防止教育とエイズ教育統合の試み
Project/Area Number |
19500580
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Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
徐 淑子 Niigata College of Nursing, 看護学部, 講師 (40304430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 優子 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (60330601)
野坂 祐子 大阪教育大学, 学校危機メンタルサポートセンター, 講師 (20379324)
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Keywords | アルコール・薬物乱用 / HIV / エイズ / 予防教育 / メンタルヘルス教育 / 青少年 |
Research Abstract |
アルコール・薬物乱用とエイズ・性感染症のリスクを重ねもつ若年層を対象とした対策は,日本では端緒についたばかりである。そこで,アルコール・薬物乱用防止教育・エイズ教育の統合モデルを提示するための基礎研究を行った。2007年度は,国内外における諸実践についての情報収集を行い,日本における現状および日本で適用・拡充されるべき実践について整理した。若年層(15-29歳)を対象とした実践についての情報を,とくに積極的に収集した。 学校健康教育におけるエイズ・性教育では,基本的な知識を身につけたあとの,一歩踏み込んだ段階の健康教育として,あるいは,健康を「自己形成」「生き方」の問題と関連づけてとらえ,性の健康を守るための具体的行動を起こすことにつながるような健康教育についてのニーズがあった。性にかかわる問題を「非行モデル」でとらえるのではなく,メンタルヘルスの問題としてとらえる視点の補強が有用であると思われた。 アルコール・薬物乱用防止教育は,一次予防の介入である。以下の諸点が現行の実践において取り組む価値のある課題として抽出された。(1)アルコール・薬物乱用防止,未成年の喫煙防止,飲酒運転のテーマでは「絶対禁止」のメッセージの他,未然に問題を回避するための知識として,メンタルヘルスの視点を導入・強化する。(2)二次予防的な働きかけ(「もし,問題が起こったときにどうするか」)についての情報提供の重要性を実践者に周知する。一次予防を機能させるためには,二次・三次予防の拡充も必要である。(3)依存症の患者教育にエイズ・性感染症,望まない妊娠の予防についてなど「性の健康」についての情報を取り入れる。 以上,アルコール・薬物乱用教育とエイズ教育の統合において,メンタルヘルスを核として両者をつなぐこと,二次・三次予防の段階でも同様な視点が有用であることが明らかにされた。学校保健教育では日本で導入され,広まりつつあるライフスキル教育のアプローチを活用し,また,二次予防的な観点を取り込むためにはエコロジカル・ソーシャルワーク的な小集団・個別介入の可能性が示された。
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