2007 Fiscal Year Annual Research Report
児童生徒の生きる力の育成を目指したストレスマネジメント実践に関する研究
Project/Area Number |
19500585
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
嶋田 洋徳 Waseda University, 人間科学学術院, 准教授 (70284130)
|
Keywords | ストレスマネジメント / 心理学的介入 / 認知行動療法 / 健康心理学 |
Research Abstract |
本研究では,児童生徒の生きる力の具体的な育成を目指す一環として,ストレスマネジメント教育を実践し,その効果測定を行うことを目的とした。特に本研究では,中学生,高校生を対象として,友人関係ストレッサーに対する認知の変容を通じて主観的学校不適応感を低減することを試みた。まず,中学生および高校生を対象として,認知的特徴および学校不適応感を最り上げ,その発達的な差異について検討した。首都圏近郊の公立中学校および高等学校に在籍する1,443名を対象として調査を行った結果,高校生においてはストレッサーに対する過度に高い影響性の評価,および過度に高いコントロール可能性の評価が,中学生においては過度に低いコントロール可能性の評価が,それぞれ主観的学校不適応感を高める傾向にあることが明らかにされた。特に,影響性の評価が低い高校生はニュートラルな認知の割合が高いことが示された。そこでこれらの結果を踏まえ,高校生203名を対象として,認知の多様性を促し,影響性の評価を低減することを目指した認知的介入の授業を実施し,その効果を検討した。その結果,介入前後でストレッサーに対するニュートラルな認知の案出が増加したこと,ニュートラルな認知が増加した群においては影響性の評価が低減したこと,介入前の時点で主観的学校不適応感が高かった群において介入後および6ヵ月後の主観的学校不適応感の低減が見られたことなどが明らかにされた。 また,介入授業後に行われたアンケートにおいても,理解,興味,有効性ともに肯定的な評価が得られた。これらの結果は,認知的変容の促進が主観的な学校不適応感を軽減させたと考えることが可能である。
|
Research Products
(2 results)