2008 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病の発症に関わる食生活と遺伝要因の相互作用に関する研究
Project/Area Number |
19500602
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
小林 公子 University of Shizuoka, 食品栄養科学部, 准教授 (90215319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
合田 敏尚 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (70195923)
市川 陽子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (50269495)
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Keywords | 生活習慣病 / 高血圧 / 食塩感受性 |
Research Abstract |
WNK1は、腎尿細管におけるナトリウム再吸収やカリウムの排泄を調節しているセリンスレオニンキナーゼである。ラットに多量のカリウムを摂取させるとWNK1の働きを介して、ナトリウムの再吸収が減り、カリウムの排泄が促進され、このラットでは血圧が低下することが観察されている。 本研究では、このWNK1遺伝子に注目して、WNK1遺伝子の個体差と血圧値の関連を日本人の健康な男性719人を対象として分析した。その結果、血圧値の決定に影響を与えるミスセンス変異(Met1808Ile)を検出した。さらに、ナトリウムおよびカリウムの摂取量とこの遺伝子型の組み合わせが、血圧値の決定に与える影響を分析するために、被験者を摂取したナトリウムとカリウムの比(Na/K比)の中央値で2群に分け、それぞれのグループにおける遺伝子型と血圧値の関連を調べた。Na/K比の高い群、すなわちナトリウム摂取量が多く、カリウム摂取量の少ないグループではMet型保有者の血圧は、Ile/Ile型のそれに比べて高かったが、Na/K比の低い群では、Met型保有者の血圧値とIle/Ile型のそれとの間に差はなかった。すなわち、Met型保有者の血圧値は、ナトリウムおよびカリウムの摂取量の影響を受けて変動しやすいことがわかった。従って、このMet型遺伝子は「食塩感受性遺伝子」のひとつである可能性が示唆された(論文投稿中)。
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