2008 Fiscal Year Annual Research Report
高分子量アディポネクチンや遺伝子多型によるメタボリックシンドロームの縦断的検討
Project/Area Number |
19500611
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
広瀬 寛 Keio University, 保健管理センター, 准教授 (50208881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 郁夫 慶應義塾大学, 保健管理センター, 教授 (60129442)
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Keywords | メタボリックシンドローム / アディポネクチン |
Research Abstract |
【背景と目的】アディポネクチン(ADPN)は、血管内皮細胞に直接働いて動脈硬化を抑制し、冠動脈疾患患者では血中濃度が低く、また、総ADPNの中で高分子量型(HMW-ADPN)が活性型である、などの報告がなされている。HMW-ADPNと縦断研究について、(1)HMW-ADPN値は冠動脈疾患を有する患者の7年間のフォローアップにおいて将来の心血管イベントの発症予測に有用である。(2)HMW-ADPNの低値は5.4年間のフォローアップにおいて2型糖尿病新規発症の独立した危険因子である、などの報告がなされている。本研究では、2000年度にメタボリックシンドロームの診断基準を満たしていないがHMW-ADPN低値であった日本人男性健常者において、6年後に新規にメタボリックシンドロームを発症しやすい傾向にあるかについての検討を行った。 【対象と方法】2000年および2006年度に定期健康診断を受診した30〜59歳の男性416人を対象とした。糖尿病の薬剤治療例は除外した。HMW-ADPNは、富士レビオ社のELISAキットを用いて測定した。2000年度にHMW-ADPN濃度2.65μg/ml以下の群(416人の下位1/5)とそれより高値の2群に分け、6年後のメタボリックシンドローム新規発症をアウトカムとし、年齢, BMI, HMW-ADPNを独立変数として、多変量解析(比例ハザード分析)を施行した。 【結果と意義】6年間の縦断研究においてメタボリックシンドロームの新規発症群は、非発症群と比較してベースライン(2000年度)の血中HMW-ADPN値が有意に低値であった。また、健常男性において血中HMW-ADPN濃度が2.65μg/ml以下の群ではそれより高値の群と比較して6年後に有意に高いメタボリックシンドロームの発症を認めた。健診時に血中HMW-ADPN値が2.65μg/ml以下の群については受診時点ではメタボリックシンドロームの診断基準を満たしていなかったとしても、食事や運動などのライフスタイル改善に何らかの介入をすることで数年後のメタボリックシンドローム発症を未然に予防出来る可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)