2008 Fiscal Year Annual Research Report
高齢化社会における中高年者の疾病予防と健康増進に対する高地トレーニングの有効性
Project/Area Number |
19500614
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
寺尾 保 Tokai University, スポーツ医科学研究所, 教授 (50183489)
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Keywords | 高齢化社会 / 高地トレーニング / 歩行 / 疾病予防 / 健康増進 / 自律神経系 / 動脈血酸素飽和度 / 動脈スティフネス |
Research Abstract |
1.目的:本研究は、主に中高年者を対象に、高地(低圧低酸素環境下)における一過性の歩行運動を行った場合、標高の違いが運動中の自覚的運動強度(RPE)や動脈血酸素飽和度(SpO_2)の応答、運動終了後の自律神経系(交感神経および副交感神経)の変化、さらには動脈スティフネス(脈波伝播速度;baPWV)の動態にどのような影響を及ぼすかを検討した。 2.方法:歩行運動は、低圧室を使用した。本研究では、平地(NE)、標高1500m(HE1)及び標高2000m(HE2)でそれぞれ歩行運動を行わせた(運動時間;60分間)。SpO_2は、パルスオキシメーター(PULSOX-3i、ミノルタ)、baPWVが血圧脈波検査装置(form PWV/ABI、日本コーリンメディカル社)を用いて測定した。自律神経系(初期瞳孔径;虹彩の瞳孔反応で交感神経と副交感神経の働きやバランスを推測)の測定は、ストレスメーターDM-2010(アイリテック)を使用した。 3.結果及び考察:(1)一過性の歩行運動中におけるSpO_2は、NE、HE1、HE2の順で有意に低値を示した(いずれもp<0.01)。(2)一過性の歩行運動中におけるRPEは、NE、HE1、HE2の順に有意な高値を示した(いずれもp<0.05)。(3)一過性の歩行運動終了30分後における初期瞳孔径は、HE1がNEおよびHE2に比較して、有意な低値を示した(それぞれp<0.05)。(4)一過性の歩行運動終了30分後におけるbaPWVは、HE1がNEに比較して、有意な低値を示した(p<0.05)。HE2については、個人差もあるが高値傾向を示した。以上、本研究の成績から、中高年者に対する標高1500mに相当する低圧低酸素環境下における歩行運動は、運動終了後、速やかに副交感神経活動の亢進がみられ、動脈スティフネスを一時的に改善することが示唆された。
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