2010 Fiscal Year Annual Research Report
有酸素性運動が脳神経機能に及ぼす効果の持続性-ERP-P3の単一施行解析法-
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19500622
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Research Institution | Seinan Jo Gakuin University |
Principal Investigator |
八木 康夫 西南女学院大学, 保健福祉学部, 教授 (80200476)
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Keywords | 前期高齢者 / 運動 / 事象関連電位P300 / 反応時間 / 脳神経機能 / 加齢 / 持続性 / 単一試行解析 |
Research Abstract |
平成19年に有酸素運動が中枢情報処理過程を短縮する効果を持つことを確認し、平成20年度には有酸素運動後、認知に関わる事象関連電位ERP-P3振幅増加が少なくとも2日以上持続することから、有酸素運動の脳神経機能に対する効果は持続性を持ち、トレーニング効果を持つ可能性を報告した。平成21年度に高齢者の軽運動開始群で脳神経機能低下の抑制が明確となり、平成22年度から運動中止群の脳精神機能の変容を検討している。高齢者の習慣的運動が痴呆とアルツハイマー病の発現を40%遅らせたという縦断的コホート研究報告(Larson,2006)があり、平成21年度から、本研究では習慣的な有酸素運動が高齢者の脳精神機能低下に及ぼす抑制効果を事象関連電位ERPと反応時間を用いて、生理学的な検討を試みている。健常な前期高齢者(65~75歳)31名を対象に、非運動群(5名)、軽運動開始群(10名)、軽運動継続群(6名)、強運動継続群(10名)に、平成19年と平成21年の9月に、安静状態で15分間の聴覚オドボール課題時の反応時間および脳波を測定し解析した。その結果、非運動群では2年後に有意なP3潜時の延長がみられ、P3振幅の減少、エラーの増加を伴った。それに対し、運動を行う軽運動開始群、軽運動継続群、強運動継続群のいずれも反応時間の短縮、P3潜時の短縮、P3振幅の増加、エラーが少なかった。このことから、高齢者において習慣的な有酸素性の運動は、刺激入力から認知の過程を短縮し、評価の程度を高め、認知機能を改善し、それを維持する効果を持つと考えられ、これは脳の覚醒の程度を上昇させ、維持させる効果を持つことが示された。また、運動は高齢者の脳神経機能低下に対し抑制効果を持ち、さらに機能の維持改善に有効である可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)