Research Abstract |
中学2年生と高校2年生を対象に,大都市,地方都市,農村の居住地域別に家庭,学校,地域といり生活場面全体にっいて調査を実施することによって,「居場所」形成の法則を居住地域別に諸側面から解明し,さらに「居揚所」の影響と役割を明確にすることを目的とした。 その結果,義務教育段階で学校間格差が少ない中学生をみると,相対的に大都市では家庭に「居場所」を十分取れないものの学校や地域に「居場所」を所有するものが多くなっておりこ農村では写庭に「居場所」を所有しやすいが地域に「居場所」を所有するものが少ないなど,居住地域による「居場所」の差異と問題点が明らかになった。 また,家庭,学校,地域の生活場面全体で「居場所」をみると,家庭,学校,地域それぞれにおける居場所所有は,他の場所での居場所所有を生み出す効果をもっており,拡張型の補完関係があることがとらえられた。それは,特に学校と地域の間で顕著にみられる。 一方,居場所を持たないものを中心にみると,個人的居場所の中心となる家庭に個人的居場所をもたない場合,学校や地域のどこにも所有できない場合が多く,個人的居場所の代替補完は,困難であることが明らかになった。社会的居場所の中心となる学校に社会的居場所を所有していない場合は,家庭で所有するものが多いが,地域に所有するものは少なく,社会的居場所は地域の代替補完機能が弱いことがとらえられた。これは,特に,農村部において,顕著である。 したがって,地域に,居場所所有を促す必要があり,子どもが自主的に居場所を形成することができるような仕掛けを地域において社会的に構築する必要がある。
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