2009 Fiscal Year Annual Research Report
人と環境にやさしい衣生活管理法の確立のために-衣類の白度を中心として-
Project/Area Number |
19500632
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
前川 昌子 Nara Women's University, 生活環境学部, 教授 (90144633)
|
Keywords | 衣生活 / 環境負荷 / 白度 / 過酸化水素 / 繊維強度 / タマネギ外皮 / 染色 / ケルセチン |
Research Abstract |
人と環境にやさしい衣生活管理法を確立することを目的として,環境負荷の小さい衣類の白度保持法の研究を中心に,身近な天然資源を活用した染色についても検討した.すなわち,綿布の過酸化水素漂白において活性化剤として尿素を用いたときの漂白効果とそのメカニズムについて検討した。まず,過酸化水素漂白に尿素を応用した際の漂白綿布の白色度の向上と強伸度の変化について測定した結果,この系において,ほぼ中性付近のpHで,引張り強度の低下を伴わずに顕著な漂白効果が得られることが明らかとなった.さらに,このメカニズムについて検討するため,酸化還元電位(ORP)の測定ならびに電子スピン共鳴装置(ESR)を用いたフリーラジカルの測定を行った.酸化還元電位の測定結果では,過酸化水素のみでは幾分不安定だったORPが尿素を添加すると安定化し,やや低下する傾向が見られたが,その変化はpHによるORPの変化と比べて小さなものであった.また,電子スピン共鳴装置を用いたフリーラジカルの測定から,過酸化水素への尿素添加によってラジカルの発生が促進されることが確認され,これが漂白効果の向上に寄与していることを明らかにした. また,身近な天然資源を染色に活用するための研究として,古くから用いられてきたタマネギ外皮を用いて羊毛の染色を行い,外皮中の主要色素であるケルセチンの染色性と比較して検討し,黄金色から茶褐色の濃色に染めるためにタマネギ外皮中の他の成分の効果が無視できないことを明らかにした.
|