Research Abstract |
今日,システムキッチンあるいは効率の高い電気製品や生活財の普及により,食事・台所空間はかなり快適な空間を提供することができるようになった。しかしこの空間に限らず,住生活において収納スペースについては,不足とする意見を持つものが多く,必ずしも適正な収納空間が提供されているとは限らない。この収納空間の問題は永遠の課題とも言われている。そのような背景の中で,これまでほぼ10年毎に,調査を実施し,適正基準がどのように変化するか,また妥当なのかについて提案してきた。本研究もその経時的研究の一貫として,食事・台所空間の変化にともなう収納計画にあたっての適正基準から台所の標準化を提案しようとするものである。 この目的を遂行するにあたって,本年度はまず一般住宅居住者を対象に,台所・食事空間の実態,食生活の実態及び意識などについての調査を実施し,その結果の分析をおこなった。特に1987年及び1989年に,ほぼ同じ階層・年代を対象とした同様の調査結果と比較し,台所空間としては変化があるものの,食生活に関しては(例えば,今日新聞紙上で賑わっている外食化,新しい簡便な食材を利用し,自宅ではほとんど調理しない食生活,孤食化など),それほど大きな変化はないことを明らかにした。 さらに,食事・台所計画において重要となる収納計画にあたっての適正基準を提案するために食事・台所に関わる生活用品(もの)の所有状況,数量,使用頻度,購入方法,収納場所,使用希望などについての本調査を実施し,プレ調査および本調査ともにデーターの収集,集計をほぼ終了し,現在分析しているところである。これまでの動向と今日の状況の差異については,まだ明らかになっていないが,適正基準に採用できるデーターであることを確認した。
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