2008 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者世帯の台所作業環境の安全性に関する研究-過疎農村の事例-
Project/Area Number |
19500641
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
竹原 広実 Kyoto Notre Dame University, 生活福祉文化学部, 准教授 (20298706)
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Keywords | 高齢者 / 農村 / 住環境 / 活動量 / 日常生活 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、都会居住者より自立が強く求められる過疎、農村の高齢者の生活の仕方と住宅環境(台所環境)の実態を調査し、日常生活における問題点を把握し安全な住環境への提案に繋がる基礎データを得ることを試みた。本年は滋賀県郊外の農村地域居住者を対象とした。調査は日常生活の活動量調査と、台所作業調査の2種行った。日常生活の活動量調査については、活動量を高めることは生活習慣病の予防や筋力、骨量など身体組成から高いADLの維持に繋がることや心理的要因とも関わってQOLを高めることが既往研究より明らかとなっている。活動量の測定は加速度計法により行い、被験者に小型の加速度計を連続24時間装着させ、1分ごとの合成加速度を活動量とした。また同時に生活行動の把握をした。結果、活動量が最も多いのは田畑での労働や内職などの「就業」であった。また対象者は共通して起床後から昼前にかけて活発に行動していた。しかし朝は血圧の上昇しやすい時間帯であり脳卒中などの循環器疾患を引き起こす可能性もあるため注意が必要である。また「家事」の中でも「炊事」は作業中に様々な動作が連続し行われているため、所要時間は短時間であっても単位時間当たりの活動量は多い。これらのことから早朝からの「就業」は活動量を高くするが、身体面での安全性を考えると、慣れた「家事」を高齢になっても行い続けることは安全に活動量を高め、老化を遅らせることに繋がるといえる。また台所作業調査では人工照明の位置により手暗がりになる状態や、「膝が曲がりにくい」身体特性から下段収納時に膝を伸長した姿勢が多くみられたが、この姿勢は心拍上昇が起こり易いなど、設計計画的段階から考慮する必要や、設備の使い方の改善などいくつかの問題点が明らかとなった。前年度調査結果は2008年7月にIFHE(国際家政学会)にて発表した。
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Research Products
(1 results)