2008 Fiscal Year Annual Research Report
IT社会における育児期のインフォーマルネットワークと世代間関係:日米比較から
Project/Area Number |
19500647
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
石井クンツ 昌子 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (70432036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 カツコ お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 名誉教授 (70008035)
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Keywords | 家族社会学 / 生活科学 / 家族関係 / IT利用環境 |
Research Abstract |
本研究の目的は育児期にある母親のITを媒体としたインフォーマルサポートネットワークが育児満足度と夫婦関係にどのような影響を与えているかについての調査をすることである。平成19年度はITと家族および親役割に関して郵送調査票に含む変数を作成する目的で親のIT環境とその利用状況についてのヒアリング調査を実施した。ヒアリング調査は日本ではフォーカスグループ面接手法を使い横浜の「児童ひろば」に集まる1〜3歳児を持つ母親10名へITや携帯メールの使用目的や内容などについて語ってもらった。アメリカでは南カリフォルニア在住の1〜3歳児を持つ母親10名へ個人面接を行なった。これらのヒアリング調査結果をもとにして平成20年度は日本においてIT(インターネット、携帯電話)を媒体とした育児サポートが育児期の母親の育児満足度や夫婦関係にどのような影響を与えているかについての調査票を作成し、1〜5歳児を持つ母親500名に対して郵送調査を実施した。調査票の主な項目はIT利用状況、オンラインと対面ネットワーク、夫婦関係・家庭内役割分業、育児不安・満足度などである。東京都・神奈川県・千葉県在住の母親から収集されたデータは様々な統計手法(記述統計、相関分析、重回帰分析、パス分析、共分散構造分析など)を用いて分析した。主な結果としては育児期の母親の6割程度がIT機器(パソコン、携帯電話)を利用して育児・子育てに関する情報やサポートを夫、親、友人から得ていること、オンラインと対面ネットワークから得るサポートは質的に相違すること、IT機器利用と夫婦関係・育児・子育て満足度に正の関連があることなどが明らかになった。本研究の結果から情報社会における育児支援のあり方に関する指針を作成することへの重要な示唆を得ることができたと考える。
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