Research Abstract |
平成22年度の研究実績は以下のようになっている。 1.低所得者層のシティズンシップの現状として多重債務者の生活について調査した。 これまで継続して行ってきた沖縄クレジット・サラ金被害をなくす会に相談に訪れた多重債務者を対象とした調査結果をまとめた。平成22年度の相談者は,347人であり,平成21年度の相談者,472人よりさらに,減少している。これは,昨年度同様,全国規模のテレビコマーシャルめ影響もあるが,司法書士会等の一斉相談会回数の増加も関係していると考えられる。 2.公的年金や医療保険をどのように消費者市民教育に導入していくかについてまとめた。 「多重債務者の公的年金・公的医療保険の納付状祝と問題点-消費者教育における社会保険学習のための基礎調査として-」(日本消費者教育学会)では,病気になった時の医療や年金は,権利としてのシティズンシップであることを述べ,低所得者層の生活困難とシティズンシップ,消費者市民教育との関係について論述した。 3.消費者教育と持続的社会システム(Building Sustainable Social System with Consumer Educaation)についてまとめた。 持続可能な社会という場合に,自然環境を取り上げる場合が多いか,社会についても持続可能性が必要である。持続可能な消費生活のために必要とされる社会システムと消費者市民教育との関係について整理した。生活に必要な資源として,(1)健全な自然環境,(2)世界の平和と秩序,(3)安全な商品,(4)収入と人間的な尊厳のための雇用,基本的生活ニーズ確保のための社会保障の5つをあげ,それに対応する社会システムとして,(1)義務教育としての消費者シティズンシップ教育,(2)国際的な友好関係,(3)商品の国際統一基準,(4)情報の国際統一基準,(5)eーコマースにおける国際統一基準,(6)ウェブの国際的監視体制,(7)子どものインターネット使用に関するモニター・コントロールシステム,(8)社会保障情報のオンライン化,(9)企業の社会貢献情報,(10)オンラインによる生産者のトレイサビリティ,(11)ADRシステム,(12)弱者のための成年後見制度,(13)雇用と生活の基本的ニーズのための公的アドバイザーシステムを挙げている。
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