2007 Fiscal Year Annual Research Report
新調理システムにおける食品成分の変動についての系統的解明
Project/Area Number |
19500663
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
石永 正隆 Prefectural University of Hiroshima, 人間文化学部, 教授 (70110765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 寿美 県立広島大学, 人間文化学部, 准教授 (10300419)
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Keywords | 新調理 / 調理過程 / 食品成分 / 脂質 / 蛋白質 |
Research Abstract |
新調理システムで調製された料理の嗜好性は、加熱後直ちに提供するクックサーブシステムと比較して、一般に低いといわれている。本研究では新調理システムにおける食品成分の変化が評価されていないことに着目し、今年度は嗜好性低下が著しく、また、成分変動が大きいと推察される肉類(鶏肉モモ肉、豚肉ロース肉)について、クックサーブシステムと新調理システムでの官能評価、食品成分の変動等を比較した。調理方法は、クックサーブシステム:オーブンで通常加熱(中心温度75℃、塩焼き)、新調理システム(冷却再加熱):加熱後、急速冷却(3℃)・5日間保存後、再加熱、新調理システム(温蔵):加熱後、温蔵(65℃80%)2〜24時間の保存とし、実際の調理と同様に行った。新調理システム(冷却再加熱、温蔵)によって調製した鶏肉の官能評価は、クックサーブシステムよりもパサパサしており、総合評価が低かった。また、クックサーブシステムと比較して、脂肪量の減少に有意な差が認められない一方、水分量の減少は著しいものだった。また、新調理システムで調理した豚肉の官能評価は、温蔵(2時間)の総合評価が高く、これは、柔らかく噛み切りやすいと評価されたためであり、レオメーターによる剪断力も低下していた。脂肪量および水分量の減少にはクックサーブシステムとの間に有意な差は認めらなかったが、減少量は鶏肉よりも著しいものだった。これらのことから、加熱による水分量の著しい減少が新調理システムにおける嗜好性低下の要因であるが、温蔵によって軟化させることで嗜好性を向上できることが示唆された。さらに、温蔵による軟化要因を確認するため、筋原繊維蛋白質、結合組織蛋白質を抽出し、分子量的変化および可溶化の程度の検討を行った。その結果、軟化の要因は、筋原繊維蛋白質ではなく、結合組織蛋白質の可溶化であり、抽出したコラーゲン線維の剪断力も低下していることが認められた。
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