2008 Fiscal Year Annual Research Report
新調理システムにおける食品成分の変動についての系統的解明
Project/Area Number |
19500663
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
石永 正隆 Prefectural University of Hiroshima, 人間文化学部・健康科学科, 教授 (70110765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 寿美 県立広島大学, 人間文化学部, 准教授 (10300419)
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Keywords | 新調理 / 調理過程 / 食品成分 / 脂質 / 蛋白質 |
Research Abstract |
給食施設の食事生産システムでは,加熱後の温度管理が重要であり,冷却再加熱,温蔵の操作が連続的に行われている。食肉の硬さを決定する要因は,主に結合組織蛋白質コラーゲンの量と構造である。19年度に加熱直後よりも,加熱調理後の温蔵で豚肉が軟化し,嗜好性が向上することが明らかとなったため,本年度は温蔵時の豚肉の硬さと結合組織蛋白質の構造の関係を明らかにすることを目的とした。豚肉の調理方法は塩焼きとし,加熱時間は中心温度75℃到達から1分間とした。オーブンで通常加熱したもの,加熱後に湿温蔵庫(65℃80%)に温蔵したものを試料とした。物性測定はレオメータ(島津)を用いてくさび形プランジャーで行った。結合組織蛋白質(酸可溶性コラーゲン:ASC,ペプシン可溶化コラーゲン:PSC,不溶性コラーゲン:ISC)は,Satoらの方法で抽出後,Woessner法でヒドロキシプロリン量の測定により求めた。また,水溶性蛋白質量の測定,筋原線維蛋白質のSDS-PAGEパターンの比較も行った。豚肉は加熱により硬くなったが,温蔵時間が長くなるにつれて軟らかくなった。結合組織蛋白質コラーゲンは,加熱により総量が減少する一方,ISC量は増加した。総量の減少はコラーゲンのゼラチン化によると考えられ,ISC量の増加はコラーゲンが加熱により収縮し,ペプシンが作用しない強固な構造のコラーゲンになったと考えられた。一方,加熱後に温蔵した豚肉では総量,ISC量ともに減少し,その減少は温蔵24時間で著しかった。これは温蔵によりISCからPSC,ASCへの移行と,ゼラチン化が進行したためと考えられた。また加熱した豚肉と加熱後温蔵した豚肉の,筋原線維蛋白質のSDS-PAGEパターンに変化は認められなかった。これらのことから温蔵時の豚肉の軟化は,温蔵中のゼラチン化の進行と,加熱収縮したコラーゲンの構造が緩んだためと推察された。
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Research Products
(2 results)