2009 Fiscal Year Annual Research Report
糖類の分子形状とベビーフード構成分子の分子間相互作用の解析
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19500665
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
佐藤 之紀 Prefectural University of Hiroshima, 生命環境学部, 准教授 (50226015)
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Keywords | アミノ酸 / 粘度 / 高分子 / 糖 |
Research Abstract |
共存低分子の分子の大きさの変化を追求し、分子レベルで食品高分子のおかれている環境を明らかにすることを目的とした。 1. アミノ酸の水溶液構造と糖水溶液構造の比較 3種類のアミノ酸の水構造パラメータα(低値ほど水を構造化させる)を求めたところ、ベタイン<サルコシン<グリシンであり、グリシンに至ってはパラメータαの値が正を示した。すなわち、グリシンは、水溶液中で分子会合が生じている可能性を示した。また、種々のアミノ酸および糖のV_2を算出したところ、V_2と分子量はR^2=0.949の直線に近似できた。粘度B係数とV_2から25℃での水和パラメータhを算出したところ、スクロース1分子当たり約6~7分子の水が結合していると考えられ、グリシンの水和殻は糖の数分の一程度以下と推察された。温度を変化させた場合のhの変化はB係数に大きく影響を受け、分子の大きさV_2の温度変化は無視できるほど小さかった。結果として、高温下では糖のhは減少するのに対し、アミノ酸ではほとんど変化しなかったことから、糖とアミノ酸のそれぞれの水和機構は基本的に異なっていると思われた。 2. 糖水溶液中における高分子間相互作用の比較 代表的な高分子の分子間相互作用のパターン化を試みたところ、無限希釈状態での還元粘度を高分子濃度で除した値(ηred,0/C)や水分活性に伴う比粘度(-dη_sp/dA_w)が、高分子の溶液物性を示すパラメータであることを明らかにし、高分子の溶液物性を3パターン化した。 3. ベビーフードに用いられる食品高分子の安定性の比較 でんぷん、グアガム、キサンタンガムを用いたベビーフードモデルの水溶液構造の安定性を比較したところ、加熱によりでんぷんは膨潤糊化して粘度が急激に上昇するが、キサンタン>グアガム>でんぷんの順に高粘度を示し、キサンタンやグアガムの安定性はでんぷんよりも優れていた。
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