2008 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼嚥下障害者食の加工調理方法の違いよる抗酸化成分の評価
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19500668
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Research Institution | Osaka Shoin Women's University |
Principal Investigator |
北尾 悟 Osaka Shoin Women's University, 学芸学部・食物栄養学科, 教授 (40150081)
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Keywords | 抗酸化剤 / 抗酸化活性 / ラジカル捕捉剤 / ラジカル捕捉活性 / 咀嚼嚥下 / スクロース / アスコルビン酸 |
Research Abstract |
咀嚼嚥下障害者の食事の質を向上させるためには、まずは生体調節機能の増強が望まれる。本研究では抗酸化・ラジカル捕捉活性に着眼し、ゲル・ゾル加工および調理食品にこれらの活性を維持あるいは増強する調理加工方法の確立を目的とする。 昨年度、様々な調理加工品にて検討を行った結果、寒天やスクロースなどの糖類を共存させ加熱したところ、非共存下と比較して有意にラジカル捕捉活性を保持していることを見い出した。そこで、本年度はその機構に関する基礎知見を得るため、咀嚼嚥下者の食事の楽しみの一つであるデザートとして「リンゴのシロップ煮」を取り上げ、またモデル系として、スクロースとアスコルビン酸のみの溶液を外部加熱法による加熱を施し、アスコルビン酸の保護効果を検討することとした。 リンゴのシロップ煮の各調理過程においては、シロップとリンゴのそれぞれの抗酸化能の和と比ベリンゴのシロップ煮の抗酸化能は約3倍となった。一方モデル系では、スクロース濃度(0, 30, 60%)、加熱時間(0, 10, 30分)の組み合わせを変化させ、ラジカル捕捉活性とヒドラジン法によりアスコルビン酸を定量した結果、スクロースは加熱によるアスコルビン酸のラジカル捕捉活性と量の減少を抑制することが判明した。その効果は、相乗的かつ濃度依存的であった。このことよりスクロースは加熱により影響を受けやすい食品成分に対して保護効果を有することが示され、今後、トロミと甘味を付与した咀嚼嚥下障害者食の献立つくりに大いに参考になることが期待される。
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Research Products
(3 results)