2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトを対象とした基本味の官能評価に及ぼす化学的および物理的諸要因の影響とその解明
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19500671
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Research Institution | Suzugamine Women's College |
Principal Investigator |
岡本 洋子 Suzugamine Women's College, 食物栄養学科, 教授 (70270022)
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Keywords | 甘味 / 塩味 / 官能評価 / バレイショデンプン / 破断応力 / 物性 / ゾル / ゲル |
Research Abstract |
食品物性の違いによる味の感じ方に関するこれまでの研究(Moritaka and Shimada 2005等)では、味の強さを、ゲルのみあるいはゾルのみに限定して調べた報告が多い。本研究では、粘性をつける材料として、バレイショデンプを選び、デンプンを添加した甘味・塩味試料を、ゾルからゲルに変化させ、ゾルとゲルを同一条件で甘味ならびに塩味の感じ方について調べた。『デンプン添加の甘味・塩味試料』と『甘味・塩味溶液(基準液)』では、味強度がどのように異なるのか官能評価手法によって調べた。また、デンプン添加スクロースについては、破断特性を測定し、官能評価と破断応力の関係を明らかにした。結果は次のようであった。デンプンを添加した甘味・塩味試料が、ゾルからゲルに移行するにともなって、呈味強度の低下が認められた。ゾル試料とゾル試料、ゲル試料とゲル試料の間では、甘味・塩味強度の平均評点に、有意差のないグループ間がほとんどであった。しかしながら、ゾル試料とゲル試料の間では、有意差のあるグループ間が多かった。スクロースに添加したデンプンの濃度が上昇するとともに、官能評価法による平均評点は、その値が小さくなっていることがわかる。一方、デンプン濃度の上昇とともに、破断応力は上昇していることがわかる。試料の甘味強度と破断応力の間には、負の相関(Pearsonの相関係数r-=-0.598)-があることが認められた。スクロース試料の粘性が大きくなるとともに、つまり、破断応力が大きくなるとともに、甘味強度が低下していることが、機器と官能評価で確認された。試料の破断応力が著しく大きいデンプン濃度範囲で、甘さの感じ方が顕著に弱いことがわかった。本実験の温度25℃では、試料がゲルの場合には、ゾルに比べて、甘味強度は顕著に低下すると考えられた。
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