2007 Fiscal Year Annual Research Report
水溶性多糖類による緑茶カテキンの渋味抑制機構の解明
Project/Area Number |
19500674
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
林 宣之 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜茶業研究所・野菜・茶の食味・食感安全性研究チーム, 主任研究員 (40294441)
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Keywords | 多糖類 / 緑茶 / 渋味 / 味覚センサー |
Research Abstract |
【成果の具体的内容】 顕著な渋抑制効果を示す多糖類をスクリーニングするために、茶葉100種類に対して浸出液のカテキン含有量の分析(HPLC)と味覚センサーを用いた渋味強度測定を行い、緑茶の主要4カテキン濃度(EGCg、ECg、EGC、EC)が同程度かつ味覚センサー出力に基づく渋味推定値が一目盛以上異なる試料群を6グループ見出した(味推定値とは、味覚センサー測定の標準物質であるEGCgの20%濃度差に対応するセンサー出力を一目盛としたスケールで表される値であり、その値が1以上異なるとヒトはその味強度の違いを認識出来ると仮定されている)。それらの内、2グループに対して、分子量解析システムを用いて分子量分布と高分子含有比を調べたところ、渋味推定値が小さい試料(渋味強度が小さい試料)が必ずしも水溶性高分子を多く含む傾向にあるわけでは無いことが明らかになった。したがって、目的とする多糖類を絞り込むためには、先ず多糖類を単離し、渋味物質の水溶液へ添加実験を味覚センサーを用いて評価する必要があると考えられらた。これまで食品の呈味成分と味強度の関係は呈味成分の含有量のみから議論される事が多かったが、食品固有の味は成分間の相互作用の影響を受けて形成されると推測される。上記の結果は、茶の原葉の品質という観点からは、水溶性高分子の含量がカテキン類の渋味抑制に対して、必ずしも支配的な因子として働いていないということを示しており、非常に興味深い事実である。
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