2008 Fiscal Year Annual Research Report
水溶性多糖類による緑茶カテキンの渋味抑制機構の解明
Project/Area Number |
19500674
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
林 宣之 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜茶業研究所・野菜・茶の食味・食感安全性研究チーム, 主任研究員 (40294441)
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Keywords | 多糖類 / 緑茶 / 渋味 / 味覚センサー |
Research Abstract |
幾つかの水溶性多糖類に関し、渋味抑制効果を調べ、その分子構造と抑制効果の関係を明らかにすることを試みた。渋味物質(エピガロカテキンガレート=EGCg)の水溶液、及びその中に水溶性多糖類を添加した水溶液を調製後、それらの渋味(先味)と渋味(後味)の強度を味覚センサーで測定し、多糖類添加による渋味抑制効果を評価した。先味とは食品を口内に入れた直後に感じる味、後味とは食品が口内を通過した後に残る味のことである。多糖類として、ペクチン、グアーガム、アラビノガラクタン、種々の分子量のデキストラン、プルラン、比較のためにカテキン類に対して優れた包接能力を有する環状オリゴ糖β-シクロデキストリンを用いた。β-シクロデキストリンのみが、渋味(先味)と渋味(後味)の両方で明確な渋味抑制効果を示した。一方で、シクロデキストリンの結果と比較するとその渋味抑制効果は小さいものの、その他の多糖類に関してもある程度の抑制作用が観測された。ペクチンとグアーガムは渋味(先味)を抑制する効果を示した。デキストランを添加した系で比較すると、分子量が大きいほど味(先味)の抑制効果があり、アラビノガラクタンは興味深いことに渋味(先味)を増強させるが、渋味(後味)を抑制する複雑な効果を示した。次に、EGCgと多糖類との間の複合体形成現象を^1H-NMRスペクトル上の化学シフト変化を用いて調べた。シクロデキストリンを添加した場合に比べ、他の多糖類を添加した場合のEGCgの各プロトンの化学シフト変化はかなり小さく、鎖状の多糖類は複雑な三次元構造を有すると予想される場合であっても、EGCgに対する包接能力はあまり高くないことが示唆された。
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