2009 Fiscal Year Annual Research Report
水溶性多糖類による緑茶カテキンの渋味抑制機構の解明
Project/Area Number |
19500674
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
林 宣之 National Agricultural Research Organization, 野菜茶業研究所 野菜・茶の食味食感・安全性研究チーム, 主任研究員 (40294441)
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Keywords | 多糖類 / 緑茶 / 渋味 / 味覚センサー |
Research Abstract |
水溶性多糖類が緑茶カテキン類と複合体を形成し、その渋味を抑制する機構を解明するために、前年度までにペクチンが(-)-エピガロカテキンガレートの先味を抑制することを明らかにした。これらの複合体形成に対して、ペクチンの主要な構成糖であるガラクツロン酸がもつ、6位炭素のカルボキシル基の役割を解明することを試みた。鎖状多糖類の包接部位のモデルとして、β-シクロデキストリンの6位炭素上の一級水酸基をカルボキシル基に変換した化合物を選択した。β-シクロデキストリンの一級水酸基の選択的酸化反応は、Robytらによる報告(Carbohydr.Lett.1998,3,31-38)を基に、TEMPO酸化を行った。生成物の^<13>C NMRスペクトルはカルボキシル基の生成を示していたが、複数の生成物の混合物と推測された。種々、条件検討を行ったが、文献記載のように反応は進行しなかった。そこで、段階的に目的物を得ることにした。まず、一級水酸基をt-ブチルジメチルシリル(TBDMS)基で保護した後、残りの二級水酸基をアセチル基で保護した。ジクロロメタン/アセトニトリル中、フッ化水素水にてTBDMS基の脱保護を行った。しかし、反応後、粗生成物を分離するために、分液処理を行うと目的生成物は水層に分配され、回収することはできなかった。次に、分液処理を行わず、反応溶液を直接濃縮、生成物をカラムクロマトグラフィーにて精製するために、テトラヒドロフラン中、テトラブチルアンモニウムフルオリドで処理したが、反応が進行しなかった。そこで、二級水酸基の保護基をベンゾイル基に変えた後、フッ化水素で処理することで、一級水酸基のみが脱保護されたβ-シクロデキストリンが得られた。この遊離の水酸基をカルボン酸に酸化するため、ジメチルホルムアミド中ピリジニウムジクロロクロメートで処理したところ、生成物は複雑な混合物を与えた。
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