2009 Fiscal Year Annual Research Report
食教育と食物アレルギー児の食事指導のための科学的根拠に基づく食事指導指針
Project/Area Number |
19500697
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
伊藤 節子 Doshisha Women's College of Liberal Arts, 生活科学部, 教授 (50144358)
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Keywords | 食物アレルギー / 卵 / 抗原性 / アルブミン / オボムコイド / 食品交換表 |
Research Abstract |
卵の主要抗原である卵白アルブミン(以下OVA)とオボムコイド(以下OM)の加熱による抗原性の低下を検討すると同じ「加熱卵料理」でも固ゆで卵と炒り卵では、OVAとOMの抗原性の低下のパターンが大きく異なっていることが明らかとなった。加熱条件を調整することによりOMの抗原性をほぼ同一にした固ゆで卵と炒り卵に残存するOVA量を比較すると1,000倍近い差が認められ、固ゆで卵中のOVAは極端に低下していた。固ゆで卵から抗原抽出後の残渣をSDSと2-MEを用いて可溶化して検討した結果、この現象はOVAの凝固によることが明らかとなった。食品をOVAとOMの抗原量の関係から3つに分けることができ、固ゆで卵はOVA<<<OMであるのに対し、炒り卵ではOVAとOMの抗原性がほぼ同等に低下していた。 食物アレルギー経口負荷試験ガイドライン2009においては負荷食品として加熱時間を一定にすれば抗原性がほぼ同一となることから固ゆで卵を使用することをガイドライン作成委員の一人として推奨してきたが、負荷試験の結果を食事指導に生かす段階になると摂取可能な食品がほとんどなく、20分固ゆで卵1/8個または12分固ゆで卵1/16個の負荷試験陰性でもテーブルロール1/50個中に含まれるOVAにより症状が誘発される可能性があり、摂取可能と考えられるのは全卵5g入り煮込みハンバーグ2/3個のみであった。ほぼ同量のOMが検出される3分間炒り卵1/(20)個の負荷試験陰性であればテーブルロール12個摂取可能であり、煮込みハンバーグはいくりでも摂取可能である。これらの結果より、OVAとOMの抗原性が加熱によりほぼ同等に低下する炒り卵を負荷食品とした場合には、その後の食事指導への応用を行いやすいと考えられた。 3分間加熱炒り卵を負荷食品とした場合の食事指導用卵アレルゲン食品交換表を作成した。これは臨床における食事指導に応用可能であり、実際に使用して効果をあげている。
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