2009 Fiscal Year Annual Research Report
高齢化が進む地域住民を対象とした亜鉛栄養状態の評価と食生活改善活動の効果
Project/Area Number |
19500698
|
Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
小切間 美保 Doshisha Women's College of Liberal Arts, 生活科学部, 教授 (30269849)
|
Keywords | 亜鉛栄養 / 食品数 / 食生活改善 / セルフモニタリング / 食事調査 / 血清亜鉛濃度 / 介入研究 / メタボリックシンドローム |
Research Abstract |
亜鉛摂取量増加を促し肥満やメタボリックシンドローム(MS)を予防するための目標摂取食品数「1食あたり8~12食品」をみいだし、この目標値を用いて東御市の住民健康診査参加者に対し、2007年の健診後から2008年に亜鉛摂取量増加のための摂取食品数増加を促すポピュレーションアプローチを行った。2009年度に食品数の再分析を行った対象者は2006年の1277名、2007年1767名、2008年1359名であった。2006年の分析結果はベースラインとし、2009年は健診結果のみ分析に用いた。なおMSについては平成20年国民健康・栄養調査の「MSの疑いの判定」に従った。2007年の調査後に集団指導を実施した結果、2008年では2006、2007年に比べ有意に摂取食品数が増加し、特に野菜類の食品数が増加した。2007年の対象者1767名のうち同意の得られた638名に対して郵送法による食品数増加のための介入を実施し、未介入群との比較を行った。その結果、摂取食品数の変化や野菜類の食品数の増加に差がなかったことから、摂取食品数による指導は集団指導であっても効果を示すことが示唆された。次に、対象者を摂取食品数で5群に分けて比較を行ったところ、食品数が多い群だけでなく、少ない群においてもMSリスク者及び肥満者の割合が有意に高かった。そこで料理区分による分析を行った結果、食品数の少ない群において一品料理のみの食事、副菜が少ない食事を摂取していた。さらに、3年間の1食あたりの摂取食品数の変化を追ったところ、目標摂取食品数を維持した対象者は他より肥満・MSのリスクが低い傾向にあった。この結果は実践栄養学において大変有用な報告である。最後に、血清アンジオテンシン変換酵素活性比による血清亜鉛濃度の測定では安定性の検討の後、ランダムサンプリングにより109名の対象者の測定を行った。これらの測定結果と亜鉛摂取状況や摂取食品数との関連を分析し、摂取食品数を用いた亜鉛栄養の改善活動を評価することで一層客観性の高い報告となる。
|