Research Abstract |
本年度の第一の目的は,インターネット上に食行動測定の為の環境システムを構築することであった。専門業者に委託し,サーバーのレンタル,ドメインの取得,さらに実験プログラムの開発をおこなった。携帯電話の撮影画像送信機能によって送信されてきた画像が自動的に実験協力者個別のウェブページに自動掲載され,その画面を介して,研究者側と交信することが可能なシステムである。このシステムによって,研究協力者のプライバシーは保護され,また研究者側からの介入も問題焦点的に行うことが可能となった。次年度以降,本システムを本格的に運用していく予定である。本年度はさらに,中学生を対象にデーターを収集し,食事内容を栄養バランスの観点より分析した。また,関連研究として,乳幼児をもつ母の食意識,食行動についても調査を施行した。母親の偏食傾向の強さが,家庭の食卓のみならず子との関係性におおきな影響を及ぼしていることが判明した。例えば,偏食傾向の強い母は,「おいしさ」「たのしさ」を食に求めるというよりは,空腹による不快感情の回避を優先する。また子の食のしつけに対しても関心が低い。これらの成果をもとに現在,食意識,食行動をより敏感に測定しうる心理テストを作成しつつある。本研究では,携帯電話ならびにインターネットが日常の生活手段となった現代社会において,専門家による食生活指導,栄養指導をより効率的,安全におこなえるシステムの構築をめざしている。次年度以降は,経験的証拠を積み重ねることにより,本システムの意義,重要性をより説得的なものとしていく予定である。
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