2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19500704
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
青峰 正裕 Nakamura Gakuen College, 栄養科学部, 教授 (60091261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和 孝子 中村学園大学, 栄養科学部, 講師 (70271434)
西山 敦子 中村学園大学, 栄養科学部, 助手 (90461475)
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Keywords | ストレス / 摂食障害 / 神経伝達物質 / 学習記憶 / 食行動 / ラット / マイクロダイアリシス / 糖尿病 |
Research Abstract |
神経伝達物質であるセロトニン(5-HT)作動性神経が投射している海馬での5-HTの食欲低下への関わりを探る実験を行った。糖尿病の脳では5-HTレベルが記憶に関係している海馬で低下していることが知られており、このレベル低下と糖尿病者で高頻度に合併するうつ病との関係が注目されている。そこで、うつ病の軽減を図るために使用されているのが抗うつ剤で、三環系、四環系、セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)などがあるが、ここではSSRIの一つであるフルボキサミンをマウスに投与して、拘束ストレスを明期(7:00〜19:00)または暗期(19:00〜7:00)の始め30分間負荷し、摂食・摂水行動に及ぼす効果を調べた。糖尿病では5-HTの海馬でのレベルは低下しているので、健常マウス(C57BL/6J;約63週、約39g)とともに自然発症糖尿病マウス(KK/Ta;約64週、約39g)を用いて比較した。フルボキサミンは血中濃度が1mMになるように腹腔内に投与した。マウスは夜行性であるから夜間(暗期)の行動量は明期の2倍以上である。拘束ストレスは明期に負荷すると両群マウスで行動量は明期より暗期に減少した。しかしSSRI前投与により、暗期の行動量は増加し、とくに糖尿病マウスで顕著だった。一方、暗期始めのストレス負荷は、暗期の行動量に影響を及ぼさなかった。摂食・摂水量も行動量とほぼ類似の経過を示した。このことからフルボキサミンは、明期(すなわちヒトにおいては夜間)にストレス負荷した場合に限り、暗期(すなわちヒトにおいては午前中)の行動を正常に回復させる効果があることがわかった。とくに糖尿病の場合はその効果がより大であったことは、フルボキサミンが脳でのシナプス間隙での5-HTの再取り込みを阻害することにより、5-HTの濃度を上昇させた可能性が強く示唆された。
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Research Products
(15 results)