2009 Fiscal Year Annual Research Report
デジタルカメラを検出器として用いた新規な実験・観察法の開発
Project/Area Number |
19500714
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
菊地 洋一 Iwate University, 教育学部, 教授 (50241493)
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Keywords | デジタルカメラ / 水質分析 / 溶媒抽出 / 生物教材 / 血液 |
Research Abstract |
本研究の目的は,現在一般に普及しているデジタルカメラ(以下デジカメと略記)を計測機器(検出器)として転用することの有効性を示すことにより,学校教育等における科学実験・観察の質の改善や新たな展開に資することである.平成21年度は申請した研究計画に従い具体的に挙げた研究課題のうち,「課題1:天然水中の微量成分の定量」と「課題3:近赤外線検出器として用いることによる新たな観察・実験法の創造」に取り組んだ.それぞれの概要と成果は以下のとおりである. 1.溶媒抽出法を併用した複数元素の同時比色定量法にデジカメ計測を応用した.このテーマの趣旨は,デジカメ計測においても観測する波長の違い(複数の色情報)を利用して,複数元素の同時定量ができるかどうかを明らかにすることである.対象元素を鉄とアルミニウムとし,反応系にはオキシン抽出系を選んだ.抽出操作やデジカメ測定の諸条件を種々検討し,ppmレベルの鉄とアルミニウムを簡便に同時定量する方法を開発した.これにより多様な比色分析法にデジカメ計測が応用可能なことを明らかにした. 2.生物分野の教材を念頭に,生体の非破壊血液観測を簡単にできる方法を検討した.赤外線ランプ,カメラ(一般のデジカメ,安価な赤外線カメラなど)の種類や観測条件を種々検討した.その結果,安価な赤外線カメラを用いることにより,人の手のひらなどの血流がその場で明確に観察できる条件を決定した.この方法を学校現場で活用すれば生徒の興味関心を高めることができると期待される.今後さらに,ランプ波長をコントロールすることにより,動脈と静脈を区別して観測するなどの展開が考えられる. 3.最後に本研究の成果と今後の展開についてまとめを行った.
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