2010 Fiscal Year Annual Research Report
教師のライフステージに応じた理科の実践的指導力の形成に関する研究
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19500745
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山崎 敬人 広島大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (40284145)
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Keywords | 教師のライフステージ / 理科教師 / 実践的指導力 / 力量形成 / 教員養成 / 省察的実践 / 教師志望学生 / コティーチング |
Research Abstract |
本研究は,教員養成段階で学ぶ教師志望学生とライフステージの初心期から中堅期までの現職教師を対象として彼らの理科の実践的指導力の形成の実態と課題を実証的に解明し,力量形成の改善のための方策を探ることを目的として,4か年計画で実施してきた。本年度はその最終年度である。 本年度は昨年度に引き続き,本研究の1年次から行ってきた調査を継続して実施し,実践的指導力の形成に関するデータ収集を行うとともに,4年間を通して収集し整理したデータの分析・考察を行い,研究成果を6本の論文として報告書(冊子体)にまとめた。その内容は大きく3つに区分できる。その第一は教師志望学生を対象とした3本の論文であり,それぞれ彼らの理科授業観の形成と変容,臨床的指導力の形成,模擬授業実践の省察に焦点を当てて取り組んだ研究の成果をまとめたものである。その第二は初心期から中堅期の現職教師(本研究では臨採も含めた教職経験がおよそ10年以内まで)を対象とした2本の論文であり,それぞれ理科授業観と理科授業実践の観点から彼らの力量形成を事例的に検討した研究と,教職経験や教材経験と関連させて彼らの省察的実践を事例的に検討した研究の成果をまとめたものである。そして,第三は教師の実践的指導力の形成のあり方に関する改善方策としてコティーチングの可能性に注目し検討した論文である。 本研究により,教師志望学生及び現職教師の理科の実践的指導力の獲得・形成にとって,彼らが保持する理科授業観とその変容,及びその変容の契機の経験や,省察的実践力の獲得・形成が重要な意味をもつ可能性が示唆されるとともに,コティーチングによる理科の実践的指導力(とりわけ省察的実践力)の獲得・形成の効果や可能性についてさらに実証的な検討を加えていく価値があることが指摘された。
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