2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19500755
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
野井 英明 The University of Kitakyushu, 文学部, 教授 (60237815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 泰弘 北九州市立自然史・歴史博物館, 自然史課, 学芸員 (00359473)
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Keywords | 科学教育 / 環境教育 / Geopark |
Research Abstract |
昨年度は、遺跡の観察が環境教育に有効であり、従来から実施されている環境教育に比べて、人のより深い心理に働きかける効果がある可能性を指摘した。しかし、遺跡観察を通じた環境教育は十分な教育能力を持つと考えられるものの、遺跡発掘現場は、多くの場合、調査終了後は見ることができなくなる。この欠点を補う方法としてはぎ取り資料の利用を試み、同様な効果を持つかどうかを検討した。黒埼城跡(縄文時代〜近世の遺跡)のはぎ取り資料を、北九州市立自然史・歴史博物館において展示し、博物館を訪れた小学6年生50名について、この展示を見て学習した内容をアンケートによって調査した。その結果、はぎ取り資料の観察によっても一定度の環境教育効果が得られることが明らかになった。これにより、はぎ取り資料の観察を活用することで、遺跡の環境教育効果をより柔軟に観察ルートに取り込むことが可能になると考えられる。 昨年度来、北九州市とその周辺のいくつかの地域について、本研究のフィールドとしての可能性を検討してきた。それらのうち、北九州市小倉南区の周防灘上の無人島である間島(ましま)に観察ルートを設定し観察ガイドを作成した。間島は、干潮時には干潮時には干潟を歩いて渡ることができる。島内では、変成岩類、花崗岩類、第四紀堆積物を観察することができ、花崗岩類の江戸時代の採石場跡があり、第四紀堆積物の花粉分析により縄文時代には照葉樹林が生い茂っていたことが明らかになっている。また、長いあいだ人間の手がつけられていない森の中では10基に及ぶ古墳を見ることができる。このルートは人間と環境の関係を時間軸に沿ってみることができ、それによって、現在の環境に思いをめぐらせることができる絶好のフィールドであることが明らかになった。
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