2007 Fiscal Year Annual Research Report
声道模型を用いた「人間の音声生成機構を直感的に学ぶ」音響教育の実践
Project/Area Number |
19500758
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
荒井 隆行 Sophia University, 理工学部, 教授 (80266072)
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Keywords | 科学教育 / 音声科学 / 可視化 / 声道模型 / 音響教育 / 音声生成 / 母音 |
Research Abstract |
現在までに音声の生成機構を直感的に理解できるような「肺の模型」や「声道模型」をいくつか製作し、大学の講義や科学教室等で活用してきた。理科離れが叫ばれる中、「音声科学」という身近なテーマに触れることで科学に興味を抱く子供たちも増えるのではないかとの期待も込め、模型の開発や教育プログラムについてswyfした。目的や用途によって求められる教材も異なるため、本研究では用途別に最適な模型探ることを目的とした。 教室等での講義用(普及型声道模型)、あるいは科学教室やセミナー等で体験しながら学べる教材(工作型声道模型)として、「スライド式3音響管モデル」による声道模型の改良を行った。頭部形状型の検討を進めつつ、筒型では各音源(リード式、エアリード式)を改良し、音源を替えると楽器にも声道模型にもなる模型工作を取り入れた教育プログラムを試行。その結果、作業効率や模型の音質に向上が認められた。 また、実物に近い形で音声の生成機構を解説する場合にはヒト型模型が理想的で、博物館や科学館等での体験型展示、教室での説明などに適している(展示用声道模型)。「肺の模型」「声帯模型」「声道模型」を組み合わせることで、肺呼吸のメカニズム、喉頭原音の発生するしくみ、音源フィルタ理論(形状の異なる声道の共鳴により韻質が変化)などを系統的に理解できる教材となる。舌可動式の声道模型に設計デザインや「ゲル舌」といった素材の検討を重ね、舌の位置をよりフレキシブルに変化させることに成功した。操作性の観点から適切な声道形状瞬時に作り出すことにまだ課題は残るが、異なる母音が連続して発声できることから音声のダイナミックスをより実感できるようになった。 国立科学博物館での科学教室等にて、これらの声道模型教材を使用したところ、その有効性が確認された。それをベースに現在、教育プログラムも検討中であり、より広く成果を社会に還元したい。
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