2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19500766
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
林 慶一 Konan University, 理工学部, 教授 (10340902)
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Keywords | 化石化作用 / 実験教材 / 貝形虫 / 河川の流速 / 非海生堆積物 / 化石の保存状態 / 白亜紀 |
Research Abstract |
従来,地質学的な長大な時間をかけて行われる化石化作用は実験が困難と考えられてきたが,筆者は淡水生介形虫を素材にすることで実験教材を開発することが可能であると考え,平成19年度は次の4つの研究を行った。 (1)化石化作用の第1段階である生体の腐敗と硬組織の残留については,島根県宍道湖等西日本各地で採集した介形虫の飼育を通して,個体群の季節変動による供給量の変化があるほか,脱皮を行うために1個体が成長に伴って化石の元となる殻を数次にわたって生産することなどを解明した。 (2)化石化作用の第2段階である運搬過程を支配する河川及び湖沼の流水力学的な環境については,購入した高分解能の電磁流速計を用いて,福岡市の室見川を例にして上流・下流・中流ごとに,これまでほとんど知られていない微地形による劇的な流速変化や乱流の実態を明らかにすると共に,内蒙古で採集したコキナ化石の配列から介形虫の殻の流水特性を明らかにした(日本地学教育学会で発表)。 (3)化石化作用の第3段階である埋積後の過程については,白亜紀の山間盆地堆積物である国内の地層と内陸湖沼の堆積物である中国の内蒙古・遼寧省・浙江省の地層から,様々な保存状態の介形虫化石を採集して比較研究した結果,湿潤気候下で堆積したと推定される国内の化石は殻の石灰分が溶脱しモールドとして残るが,乾燥気候下では蒸発により石灰分が堆積物中に残るため,埋積された殻の石灰分が保存されるだけでなく,付加されることもあることなどを明らかにした(日本生物教育学会で発表)。 (4)教材化予定の実験を,現行の理科の内容に最適化するため,小学校の地学分野の内容の変遷を明らかにする研究を行い(日本地学教育学会誌に論文として公表),理科指導法についても対応する学問領域のパラダイムを育成するスキーマの中核とする方法を提案した(国際教育学会・日本地学教育学会・日本理科教育学会等で発表)。
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