Research Abstract |
1.音声認識即時字幕に関する実験の実施 音声認識即時字幕に関する実験を実施し,その研究成果を学会で発表した.また,これに加えて,国際学会でも発表を実施した.誤字脱字をリアルタイムで円滑に校正するための連携作業用のソフトウェアを開発・改良し,連携作業の効果等について調べた.このソフトウェアの利用によって復唱担当2名,校正(修正)担当2名の合計4名にて,一般的な講義等の即時字幕作成が可能であることが判った.この研究成果に基づいて,高等教育機関や地域の情報保障団体,そして企業などがこの手法を容易に導入できるように,「音声認識によるリアルタイム字幕作成システム構築マニュアル」を他大学の研究者と協力して作成し,本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)を介して配布を開始した.このマニュアルには,システムを構成するために必須の各種ソフトウェアも含めている. 2.字幕作成および提示のための通信システムの調査・開発 昨年度まで研究開発を実施してきた既存のシステムは,学会からも評価を受け(電子情報通信学会・第6回HC賞受賞),現在では講義保障システムとして本学産業技術学部にて継続的に運用されている.この点においては意義が大きいと言えるが,この既存のシステムは情報保障の品質の向上・維持を主眼としており,特に利用者側でのポータビリティ性が低い.また,機材準備および運用に必要な人的なコストも無視できない状態であった.これらを改善し,学外での見学・実習においても運用の容易なシステムの開発も必要である.このために,研究期間を2ヶ月延長し,調査を実施した.その結果,比較的適したシステム構成を見出すことができた.具体的には,利用者側では携帯電話とBluetooth対応マイクロホンの2つのみを利用する手法であり,これらの暫定的なシステムが人的なコスト削減やポータビリティ性を高めるかと言った事項に関して,評価実験を実施した.
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