Research Abstract |
第一に,子どものマップ作成におけるGPS利用の意義を検討するため,小学校授業における現地調査の段階を観察した。その結果,知っている地域内でも地図上でその場所の位置を特定することが難しく,地図係が記録を終える前に次の地点に向かう場面,既に調査した地点か否かを見失う場面があり,地図を原因としたトラブルの回避に位置記録へのなんらかの支援が必要であることがわかった。 第二に,効果的な地図・GIS教育を探るため,自らの地図・GISを利用した授業内容を失敗例・成功例を分けて検討した。その結果,地図表現を問う課題では論理より直感(好み)に左右されやすく,地図を通して実世界との対話が積み重ねられるような場の存在が授業成功の鍵となることが伺われた。また,統計地図の表現選択とその読み取りや空間的観点・スケールの考慮など,算数的・数学的な考慮が必要になる部分に難があり,特別な教材を用意する必要であることが伺われた。 第三に,中・高等学校段階の地理教育を前提とした,着色作業を施した地図をGPS受信機のついた携帯端末に取り込み,「地図から発想し,現地調査に出向く」というタイプのGPS利用と,地域調査活動を提案した。 第四に,GISを用いて,定性的推論を含む地理的意思決定過程をする際,ユーザーからの要求に内在する不確実性を取り上げ,意思決定過程に及ぼす影響を定量的に評価する手法としてファジー・エントロピーを用いることを提案する研究をした。この研究は個々の要求に対して定量的な評価を算出し,定性的推論全体に反映させることによって意思決定の具体性,利便性の向上を図ることができる。 第五に,web地図を含めたwebページ上に手書きで情報を書き込めるブラウザの設計,実装を行った。このブラウザでは,グループ学習への適用を考慮し,書き込んだ情報を複数人で共有することを可能にした。
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