2008 Fiscal Year Annual Research Report
合成音声を利用した外国語リスニング能力測定支援システムの開発と実践的評価
Project/Area Number |
19500799
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
康 敏 Kobe University, 国際文化学研究科, 准教授 (60290425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏木 治美 神戸大学, 国際コミュニケーションセンター, 准教授 (60343349)
鏑木 誠 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (40093504)
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Keywords | e-ラーニング / 音声合成技術 / 外国語教育 / システム開発 / リスニング能力 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に開発した単語レベルのリスニング能力測定システムを用いて,ベイズ統計による評価コアの提示について分析を行った.システムのデーダベースでは,評価デーブル,集計テーブル及び音テーブルが実装されている.評価テーブルには,単語の実際の聞き取り評価レベルを格納する.音素テーブルは,評価データのある単語を発音辞書によって音素に分割し,単語と構成音素の対応関係を示すものである.システムは,ある単語の評価スコアを以下のアルゴリズムで提示する.まずその単語を構成する各音素に対する各評価レベルに対応する確率をデータベースにある既存の評価データから計算する.次に各音素の評価スコア(評価レベルの期待値)を平均してその単語の評価スコアを求める.提示アルゴリズムを検証するにあたって,"receive"と"theory"を例にして計算を行った."receive"に関しては計算したスコアと実際の評価値の間に差が小さかったが,"theory"に関しては,大きな差が生じている.この違いをもたらす理由はいくつか考えられる.まず単語において音声知覚の基本単位が音素とする仮定にある."theory"においての差はこの仮定に問題があると示唆するものと考えられる.次に,音素が基本単位と前提する場合,各音素の単語の音声知覚に及ぼす影響が異なることも考えられる.つまり,単語の評価スコアを算出するとき,各音素の期待値の単純平均ではなく,各音素の単語の音声知覚への影響を考慮した加重平均を用いる必要がある.また,検証に使用したデータが少なく,評価データによらない音素があったことも,結果の精度に影響した原因と考えられる.今後の実験的運用と共にこれらの問題点を取り上げることによってシステムの改良につなぐのみならず学習者の音声知覚に影響する基本単位を抽出することも期待してしる.
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