2007 Fiscal Year Annual Research Report
エージェントベースのモデル分析によるeラーニング協調学習の数理構造の解明
Project/Area Number |
19500802
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
安武 公一 Hiroshima University, 大学院・社会科学研究科, 講師 (80263664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多川 孝央 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 助教 (70304764)
山川 修 福井県立大学, 学術教養センター, 教授 (90230325)
井上 仁 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 講師 (70232551)
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Keywords | 複雑ネットワーク / シミュレーション分析 / 協調学習 / Ising Model / グラフ理論 / 学習効果 |
Research Abstract |
本年度は、複雑ネットワーク科学を応用した実証研究を行うとともに、エージェントベースの基礎モデルを開発しそれによる理論分析を行った。われわれの研究は、教育工学の領域でおそらく初めて複雑ネットワーク(Complex Networks)科学の解析手法を導入した数理的研究として、高く評価された。主な研究成果は次の通りである。 1. 実際の高等教育で実施された協調学習のデータを解析し、協調学習空間において形成される学習者のコミュニケーションネットワークの構造には、small world、 rich club phenomena などの特性を見出すことができるとともに、次数相関の点において特異な特徴が存在することを明らかにした。 2. 協調学習において形成されるコミュニケーションのネットワーク構造が学習効果に対して与える影響を数理的に解析するために、Ising Modelに複雑ネットワーク構造を導入したシミュレーション・プログラムを開発し、数値解析を行った。その結果、学習者のコミュニケーション構造がComplete Graphを示す場合には、学習空間全体のマクロの学習効果は中位レベルの平均値へ収束すること、その一方で、Small World、 Scale FreeなどComplex Networksの構造のもとで学習者間の相互作用が行われる場合には、学習効果は上位レベルへと収束すること、などを明らかにした。ネットワーク構造の違いが学習効果の顕著な違いをもたらすことを明らかにした研究は、われわれによるものが最初である。 次年度においてはこれらの基礎的な成果をベースとして、エージェント間の相互作用にNetwork Formation Gameなどゲーム的要素を導入したプログラムを開発し、より詳細なシミュレーション分析を行う。また同時に、シミュレーションの数値解析の結果に対し、統計物理学的手法に基づく数理モデルの解析を行う予定である。これらにより、協調学習空間の数理構造の解明にわれわれは桃む。
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Research Products
(7 results)